その後、沖に話を聞くと「いつの間にか呼び捨てにされていましたね」といって笑った。沖から見た松田は「ほんと憎めないキャラ」なんだとか。そして、こんな“効果”も教えてくれた。「朝(松田に)会ったときの方が調子がいい(笑)。母親もそういっていて、『鈴英ちゃんからパワーをもらってきたら?』っていわれるんです」。
天真爛漫ともいえる松田と、クールな雰囲気を漂わす沖。一見すると真逆のタイプとも思える2人だが、相性はバツグンなようだ。またこちらも同期の勝みなみも「沖って呼んでいます!(笑)」という1人。「年齢なんか関係ないです!同期なんで」と当たり前のようにいう姿から、89期生の関係性が改めて伝わってくる。そんな光景を新垣比菜は、「(沖は)同期のなかで、つっこみ役みたいになっています。鈴英ちゃんとかとのやり取りが面白いです」といつも笑って見ているそうだ。確かに、松田が沖のことを「優しい」といっていた話を沖にすると、「そんなこと思っている感じはしないです(笑)」と即座に切り返してきた。
「いつの間にかいじられ役になっていましたね」という沖だが、そんな自身の立ち位置については、「私は人見知りで、仲良くなるまでに時間がかかるタイプなので、そうやって来てくれた方が話しやすいです」と大歓迎の様子だった。少し年上のお姉さんは、今や同期の愛されキャラの1人となった。
なぜこの光景が気になったのか。それは、こうして築き上げた彼女達の“同期”という連帯感が、しっかりとプレーにも好影響を与えていることを感じたからだ。松田の最初の言葉には続きがある。「沖には絶対に負けたくない!」といった後に出た、「ま〜、沖が優勝したらそれはうれしいこと。でも、一緒に優勝争いがしたい!」というこの思いが本心なのだろう。距離感が近いがゆえに、「負けたくない」「うれしい」「一緒に」という様々な感情が湧きたち、それが「刺激」として気持ちをかきたてる。沖も「まだ後半戦は長い。同期と優勝争いをしてみたいですね」という希望を口にした。そして、その希望は、ほかの89期生からもよく聞かれるものだ。
この大会の初日には勝みなみ、小祝さくら、小倉ひまわりと同期3人の組み合わせも実現。勝が6アンダー・首位タイ、小祝は4アンダー・7位タイ、そして小倉が2アンダー・27位タイとそれぞれが好発進をした。小倉は4番でトリプルボギーをたたきながら、「同期3人のラウンドで、2人ともすぐに話しかけてくれたので、うまく気持ちが切り替えられました」と、その後7つのバーディを奪ってホールアウトした。もちろん並々ならぬ努力を続けている選手の姿を見て、相乗効果という言葉だけで結果を片づけるつもりはない。しかし、この関係がプラスαの要素として働いているのは選手の声を聞いても明らかだ。
こうしてお互いを高めあい、成長していく選手達。今回は優勝をつかむことができなかったが、この89期生3人による最終日最終組というのもきっと近く実現するのだろう。そして、そんなしびれる場面でも、とても楽しそうにラウンドする姿が目に浮かんでくる。(文・間宮輝憲)
天真爛漫ともいえる松田と、クールな雰囲気を漂わす沖。一見すると真逆のタイプとも思える2人だが、相性はバツグンなようだ。またこちらも同期の勝みなみも「沖って呼んでいます!(笑)」という1人。「年齢なんか関係ないです!同期なんで」と当たり前のようにいう姿から、89期生の関係性が改めて伝わってくる。そんな光景を新垣比菜は、「(沖は)同期のなかで、つっこみ役みたいになっています。鈴英ちゃんとかとのやり取りが面白いです」といつも笑って見ているそうだ。確かに、松田が沖のことを「優しい」といっていた話を沖にすると、「そんなこと思っている感じはしないです(笑)」と即座に切り返してきた。
「いつの間にかいじられ役になっていましたね」という沖だが、そんな自身の立ち位置については、「私は人見知りで、仲良くなるまでに時間がかかるタイプなので、そうやって来てくれた方が話しやすいです」と大歓迎の様子だった。少し年上のお姉さんは、今や同期の愛されキャラの1人となった。
なぜこの光景が気になったのか。それは、こうして築き上げた彼女達の“同期”という連帯感が、しっかりとプレーにも好影響を与えていることを感じたからだ。松田の最初の言葉には続きがある。「沖には絶対に負けたくない!」といった後に出た、「ま〜、沖が優勝したらそれはうれしいこと。でも、一緒に優勝争いがしたい!」というこの思いが本心なのだろう。距離感が近いがゆえに、「負けたくない」「うれしい」「一緒に」という様々な感情が湧きたち、それが「刺激」として気持ちをかきたてる。沖も「まだ後半戦は長い。同期と優勝争いをしてみたいですね」という希望を口にした。そして、その希望は、ほかの89期生からもよく聞かれるものだ。
この大会の初日には勝みなみ、小祝さくら、小倉ひまわりと同期3人の組み合わせも実現。勝が6アンダー・首位タイ、小祝は4アンダー・7位タイ、そして小倉が2アンダー・27位タイとそれぞれが好発進をした。小倉は4番でトリプルボギーをたたきながら、「同期3人のラウンドで、2人ともすぐに話しかけてくれたので、うまく気持ちが切り替えられました」と、その後7つのバーディを奪ってホールアウトした。もちろん並々ならぬ努力を続けている選手の姿を見て、相乗効果という言葉だけで結果を片づけるつもりはない。しかし、この関係がプラスαの要素として働いているのは選手の声を聞いても明らかだ。
こうしてお互いを高めあい、成長していく選手達。今回は優勝をつかむことができなかったが、この89期生3人による最終日最終組というのもきっと近く実現するのだろう。そして、そんなしびれる場面でも、とても楽しそうにラウンドする姿が目に浮かんでくる。(文・間宮輝憲)