プロの世界で1年間培った経験は、コースの外でも生きてきそうだ。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が毎年実施している『新人セミナー』が、今年も10日からスタート。“新人”と銘打たれてはいるが、選手たちは2年間の参加を義務付けられているため、昨年のプロテストに合格した96期生も、20人がここで“復習”している。
そのなかのひとりで、ルーキーイヤーをメルセデス・ランキング57位で終えた政田夢乃は、「去年は実践がないなかで得た初めての知識でしたけど、今年は前夜祭など、いろいろなケースを経験したうえでの受講だったので、改めて学ぶこともありました」と、こんな部分でも“成長”を感じ取ったようだ。
この新人セミナーは、3日間をかけプロゴルファーとして必要な心得を各界の講師たちが伝授。その内容は、プロアマのゲストに対する対応や、テーブルマナーといったものから、税金、メイク、SNS対策など多岐に渡る。1年前はなかなか想像しづらかったシチュエーションを実際に1年間かけ体験してきたことで、腑に落ちるものも多くなった、というわけだ。
初日となった10日は『魅力的なプロゴルファーになるための演出術』と題した講習が行われた。お礼状の書き方や、箸の割り方、皿の持ち方といった細かな点まで教えられ“納得”。政田が特に感じたのは、こんな部分の成長だ。「今年の前夜祭は、ヘタや皮がついた果物など難しい食べ物は食べないようにしていました。2回目も、そういった難しい果物の食べ方も教えてもらったので、来年もう一度チャレンジしてみようかなと思ってます」。ニコニコした笑顔とともに“リベンジ”を誓った。
「ゴルフ以外のこともレベルアップできたらかっこいい。これが終わっても(JLPGA)アワードなどの場面で活躍できる知識だと思うので、いろいろ学びたいですね」。意欲は充分。必要性を強く実感したからこそ、吸収できる知識は多い。
もちろん、コース内でのさらなる飛躍にも意欲を示す。今年は「NEC軽井沢72ゴルフ」2位など鮮烈な印象も残したが、ここで最後に池ポチャして優勝を逃したように「最終日に崩すことが多かったのが一番の課題」というのが、今の認識。そこで目指すのが体力&飛距離アップだ。「難しいピンポジの攻め方がまだまだ(甘い)。飛距離を伸ばしてセカンドでピンをデッドに狙えるよう、1番手でも短いクラブで打てるように」。これもプロの世界で実感したことだ。
今季230.77ヤードで70位だったドライビングディスタンスと、プロゴルファーとしての立ち居振る舞い。ここにさらなる磨きがかかる2年目のシーズンになりそうだ。(文・間宮輝憲)