<日本女子オープン 最終日◇1日◇芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県)◇6528ヤード・パー72>
2021年11月の「大王製紙エリエールレディス」以来、原英莉花が約2年ぶりとなる勝利を挙げたのは「いつまでも憧れの大会」という「日本女子オープン」だった。20年大会に続く、2度目の日本一の称号。それが決まった瞬間、高々と空に右手を突き上げ、18番グリーンを囲んで大きな歓声と拍手を起こしていたギャラリーに深々と一礼した。
思い返して涙も 不振、手術を乗り越えて…原英莉花が語った“苦難の2年間”「長かった」
不振、腰の手術を乗り越えて。原英莉花が復活のメジャー3勝目までの2年間を振り返る。
配信日時:2023年10月1日 21時30分
<日本女子オープン 最終日◇1日◇芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県)◇6528ヤード・パー72>
2021年11月の「大王製紙エリエールレディス」以来、原英莉花が約2年ぶりとなる勝利を挙げたのは「いつまでも憧れの大会」という「日本女子オープン」だった。20年大会に続く、2度目の日本一の称号。それが決まった瞬間、高々と空に右手を突き上げ、18番グリーンを囲んで大きな歓声と拍手を起こしていたギャラリーに深々と一礼した。
1打差の首位からスタートした最終日。「1番でバーディが獲れていい流れでいけるかと思ったら、2番でボギー。でもこれですごく引き締まった。ガンガンいける感じではないな」。まさにその言葉通り、鋭い眼で“獲物”を狙い続けた。2オンに成功した5番パー5では、3番ウッドで打ったセカンドを、カップ左のピンハイにつけるスーパーショット。そして5メートルのイーグルパットが決まると、小さく、だが力強いガッツポーズを繰り出した。
実質的な一騎打ちで優勝を争った菊地絵理香は、原のプレーを「スキがなかった」と評する。そして原もライバルのことを、同じように「スキのないプレーで、気が抜けるホールがなかった」と言う。緊張感がロープ外にもひしひしと伝わってくるような激闘が繰り広げられる。そのなかで「スキを見せてはいけないと思っていた。集中力がハンパじゃなかったです」という原のプレーが、最後、ボギーフリーで追い続けてきた菊地を退けた。
今年5月には持病として苦しめられてきたヘルニアの摘出手術を受けた。同じ月の「RKB×三井松島レディス」で、プロアマまで出場しながら本戦を欠場するほど、痛みのピークは「突然」やってきた。手術後はリハビリの日々。「(今後)本当にゴルフができるのかとも考えました」。そんな不安とも戦う毎日だった。1カ月ほどで打ち始めたが、フルスイングまではなかなかできない。ようやく8月の復帰戦「北海道meijiカップ」直前に、思い切りスイングができるまでになった。
これが復帰8戦目だが、その腰はまだ完治したとはいえない。アップダウンが激しかった今週のコースでは、入念なケアなしでプレーするのは怖い状況だったという。ただ、プレーでは大きな手ごたえも。「自分のなかでドライバーショットがコントロールできていた。(曲がる気も)しなかったです」。力みはないが、迫力のあるスイングから繰り出されるショットは、福井のギャラリーを何度もどよめかせた。フェアウェイキープ率は69.6%。ただ大きなミスといえるものはほとんどない。
ひさしぶりの優勝の瞬間は満面の笑みだった原が、その後の会見で涙を流したシーンがある。「去年は、シードが…普通の状態なのに取れないかもと思っていた夏場はつらかったです」。この時期を振り返った時は、そう言葉を振り絞らなければいけないほど。最終的にはメルセデス・ランキング31位でシードは確保したが、一時は状態が上がらずに50位圏外をさまよっていた時期は、さすがにこたえた。
そんな苦難を乗り越え、今は自信に満ちあふれている。それと同時に「復帰戦からワクワクしていました。日々練習できることもうれしいですし、腕を磨けずに試合に挑んでいたもどかしい時期を越えて、今は納得して試合に出られる。子供の頃に戻った気分です」という思いも、胸にこみ上げている。大会中は何度も「楽しみたい」という言葉を口にしてきたが、それがその言葉の意味となる。
これが通算5勝目。そのうち3勝が公式戦という“メジャーハンター”は、再び日本一の称号を手土産に来週、海を渡る。17日から始まる来季米国ツアー出場権をかけた予選会のQスクールステージ2(フロリダ州)に挑むためだ。『予選会に向け弾みがついたか?』という質問には、力強くうなずく。
24歳228日でのメジャー3勝は、畑岡奈紗、諸見里しのぶ、樋口久子に続く史上4番目の年少記録。「長かった。でも今は戦い抜いたという気持ちが強い」。苦難を乗り越えて、まさに“つかみ取った”勝利だった。(文・間宮輝憲)
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