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    大ジャンプの前の沈み込み 吉田優利がキャリアハイでも求めた“プロの価値”【2023年・現場記者のチューモク!】

    2023年はどんな年となるのでしょうか。ツアー取材担当が今年の気になるトピックをピックアップ!

    配信日時:2023年1月19日 04時19分

    • JLPGA
    • 吉田優利
    吉田優利はキャリアハイのシーズンも…
    吉田優利はキャリアハイのシーズンも… (撮影:Getty Images)
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    国内ツアーに多くの観客が入るなど、ようやくコロナ禍からの脱却の兆しが見えた2022年。海外に目を向ければLIVゴルフの誕生、PGAツアーとの争いなど様々なものごとがありました。そうして迎える23年はどんな年となるのでしょうか。そこで、ツアー取材担当が今年の気になるトピックをピックアップ。今回は、昨年未勝利に終わった吉田優利について。

    国内ツアーに多くの観客が入るなど、ようやくコロナ禍からの脱却の兆しが見えた2022年。海外に目を向ければLIVゴルフの誕生、PGAツアーとの争いなど様々なものごとがありました。そうして迎える23年はどんな年となるのでしょうか。そこで、ツアー取材担当が今年の気になるトピックをピックアップ。今回は、昨年未勝利に終わった吉田優利について。

    いつも笑顔の吉田優利選手ですが、昨年、記者の前で涙を見せたときがありました。9月の「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」のときです。

    首位と1打差で迎えた最終日。耐えるゴルフを展開しながら、一時は後続に3打差をつけて首位に立ちましたが、終盤に追いつかれると、最終18番ホールでかわされ1打差で敗れる結果に。「1日を通してみれば、いいプレーの方が多かった。ミスをするタイミングだったりとか、流れをつかむ一打をつかんでいたつもりだったんですけど…」。そう言葉を絞り出すと、その目には涙が浮かんでいました。

    これがシーズン5度目の2位でした。ツアー史上最長の2時間の四つ巴プレーオフにもつれ込んだ「KKT杯バンテリンレディス」、夏場の「資生堂レディス」と「NEC軽井沢72」。そして連覇のかかる「ゴルフ5レディス」ではまたしてもプレーオフで惜敗。勝てそうで勝てない悔しい思いが、5回を数えたタイミングであふれたようにもみえました。

    このときに、「優勝の回数がプロの価値」という言葉を思い出しました。ゴルフ5レディスの2日目を終えた吉田選手が、優勝へのもどかしさを語っていた言葉です。22年は統合となった20-21年よりもトップ10回数(7回→19回)、メルセデス・ランキング(22位→6位)は大きく上回り、キャリアハイのシーズンを送っていました。それでも一番欲しいものが得られなかったのです。

    「(20-21年は)凸凹な成績だったけど2回勝つことができた。ランキングが(22年より)下でも、(優勝したことは)本当に価値がある。それをわかっているからこそ、今年トップ10に何回か入っているがゆえに、プロとしての価値は優勝でしか表せないんじゃないかなとも考えています」。プロゴルファーは誰しも、優勝したいという思い、不本意な成績を悔やむ気持ちを持っているはずです。吉田選手のこの言葉は、気持ちを素直に、そして自身に厳しく活を入れるような表現でした。

    22年の『バーディ数』は466個を記録し、パーオンしないホールでパーかそれよりもいいスコアを獲得する粘り強さを示す『リカバリー率』では70.6790%の高い数字をはじき出し、ともに全体1位に輝きました。攻守に長けるオールラウンドプレーヤーになったことには間違いありません。優勝できなかったのは“運が足りなかった”という言葉で片付けられるかもしれませんが、やはり「優勝の回数がプロの価値」。ツアーでも類まれな超理論派でも知られる吉田選手であれば、このようなキャリアハイの一年を送ることができたからこそ、“なぜ・どうしたら”を考え、価値について自問自答したでしょう。

    それでも、最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」で、シーズンを総括してもらったとき、先に出てきたのは前向きな言葉でした。「今年は早かったです。ゴルフ自体のレベルアップは技術的にも感じているし、昨シーズンに比べて上で戦える回数が増えました。“なりたい自分”に近づけています」。大きな目標に向かってレベルアップできたことをよろこびました。悔しい気持ちにきっちり整理をつけ、あと一歩を埋めるための課題を見つけ出し、すでに新シーズンを見据えているように感じました。

    この“なりたい自分”について、19年のプロテスト合格時には「勝負強いプロ」と話しています。高く高くジャンプする前は、深く深く沈むもの。実力を蓄えて迎える新シーズンは、どんな大爆発が待っているのでしょうか。(文・笠井あかり)

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