＜ニトリレディス　事前情報◇23日◇小樽カントリー倶楽部（北海道）◇6695ヤード・パー72＞

国内女子ツアーの避暑地シリーズは、いよいよ北海道2連戦。今週はツアー屈指の難コースともいわれる小樽カントリー倶楽部を舞台に行われる。異常な暑さを記録している北の大地は、例年に比べてコースにも変化が…。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が展望を占う。

■例年と様子が異なります

“ゴルフ発祥の地”とも呼ばれる小樽カントリー倶楽部は、国内男子ツアーのレギュラー大会や日本オープンが開催された難コース。コースはフラットめだが、石狩湾に面しており、リンクス特有の海風が選手の前に立ちはだかる。例年はガマン合戦の様相を呈する一戦だが、今年は一転、「伸ばしあいになると思います」と分析する。

夏場に雨が降った影響から、例年ほどフェアウェイもグリーンも速くも硬くもなく、かなり柔らかくなっている。グリーンが止まりやすくなり、練習日は海からの風も穏やか。「風が吹くか吹かないかで変わってきますが、いまの（風の）状態はマイルド。キャリーコントロールをしての伸ばしあい、になりそうです」とキッパリ。毎日5アンダーを積み重ねる、なんていうビックスコアも飛び出しそうだ。

ラフも短くなりコントロールしやすくはなっているが、洋芝には要注意。「ドロップしたりフライヤーしたりという計算はしづらいです」と難易度はより高くなる。そのため、ティショットをフェアウェイに置くのは必須。「フェアウェイが狭くなっているホールは多くあります。そこは無理せず刻んで、ボギーにならないマネジメントが重要ですね」と話した。

そして、北海道を襲う熱波については「暑さは、週末まで続くようです。暑さ対策もそうですが、創意工夫の準備が必要になりそうですね」と、体調管理も重要なポイントのひとつとなる。

■難易度No.1の名物ホール、16番は…

かつてはパー5ともされていた16番は、420ヤードのパー4として用意されている。距離が長く、セカンド地点からグリーンまで右サイドには大きな池が待ち構える。昨年の4日間の平均スコアは「4.3816」と最も難易度が高かった。だが、今年はコースコンディションの変化によって、その攻略にも変化が見られるようだ。

「例年では、グリーンから戻って池に入ってしまうこともありますが、このコンディションだと戻らずに止まりやすいです。右ピンでも狙っていけるような、池のプレシャーはいつもよりは少なくなると思います」と、終盤にドラマを生み出すホールにも注目する。

■ホステスVねらう地元娘、歴代覇者の共通点は？

「伸ばしあいになってくるので、ショットをつけることはもちろんですが、パットも決め切れないといけません。ショット力があって、パッティングも好調な選手が上位にくるでしょう」と予想するなか、まず優勝候補の筆頭に挙げたのが小祝さくら。「パターが狙ったところに打てている状態にみえます。meijiカップでは地元優勝も飾って、自信もついていると思います」と、地元出身、そしてホステスプロとしての力を後押しに、7月の「ミネベアミツミ レディス 」に続く今季北海道2勝目に太鼓判を押す。

そして、2021年、22年大会を制して日本勢初の“3連覇”をねらう稲見萌寧にも注目する。「3連覇を目指せるというのは本当にすごいことです。見えないパワーがあると思いますし、調子も上がってきています。パッティングも最近は転がりが重くなっているように見えます。コースのイメージも、もちろんいいに決まっていますよね」と、小樽の女王に期待を寄せる。

さらには、6月「アース・モンダミンカップ」以来の参戦となる申ジエ（韓国）も挙げる。その期間は海外メジャーに出場していたが、「全米女子オープン」では2位、「AIG女子オープン」（全英）は3位でフィニッシュ。今季はここまで2勝を飾り、メルセデス・ランキングは1位に立っている。「体の状態がとてもいいようです。そしてとにかく、パターが入っています」と16年、17年大会に続く3勝目も見えてきそうだ。

解説・大西翔太（おおにし・しょうた）/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす！！ 飛距離アップの正解』が発売中。