<Vポイント×SMBCレディス 初日◇21日◇紫カントリークラブ すみれコース(千葉県)◇6668ヤード・パー72>
米国女子ツアーを主戦場にする吉田優利が、スポット参戦している日本ツアーで好発進を切った。6バーディ・2ボギーの「68」で回り、4アンダーは2位タイ。首位と1打差の好位置に「きょうはいいプレーができた。自分のやりたいことがパフォーマンスとして発揮できた日」と満足げだ。
1アンダーで迎えた後半、11番パー3から3連続バーディで一気にスコアを伸ばした。とりわけ13番は、「難しいパットだったのでラッキーでした」と10メートルのフックラインを流し込んだ。「ここ最近のなかでは(きょうは)ショットが良かった。その流れのままパッティングも打てました」と手応えは十分だ。
同週に開催予定だった米女子ツアーが延期になったことで、今年から契約を結ぶSMBC(三井住友銀行)の“ホステスプロ”として、今大会に出場することがかなった。さらに開催地は千葉県で“ご当地プロ”でもある。「ホストと地元のダブルでやらせてもらって。いっぱいの声援を受けましたし、その分、いいパフォーマンスでもっと返したい」と、より一層気合も入る。平日にもかかわらず、4755人ものギャラリーが来場。大声援がコースに響き渡った。
同コースで行われた3年前の「日本女子オープン」では3位に入っている。「そのときはラフがもっとすごくて、ショットを曲げたら出すだけのイメージだった。(今回は)まだラフが枯れている分、狙えるは狙える。だけど、それを上回るくらいグリーンが難しい」と比較するが、しっかり対応できていると自負する部分もある。
「今週は割とアメリカに近いコースかな。(グリーンが)跳ねるし速いし硬いし。ベタっと止まるようなコースではない。ラン、距離の計算はアメリカの方が(求められることが)多いので、うまく生かせていると思います」
サイドに木がそびえ、狙いどころが狭いフェアウェイなどには日本らしさも感じさせるが、グリーンのアンジュレーションや仕上がりは米国に近い。米ツアーを主戦場にして今年が2年目。培った力は自然と発揮されている。
勢いそのままに、優勝争いに加わりたい。「(あすからも)きょうみたいなゴルフができれば、納得のいくスコアになると思う。これからちょっと練習するけれど、休みを中心にとって、朝に準備をしたい」とゲームプランを練り、早めにコースを後にした。
同じくSMBCとスポンサー契約を結ぶ妹・鈴も好スタート。最終18番のボギーを悔やむも、3バーディ・2ボギーの「71」で1アンダー・8位タイにつけた。「ラフがないメジャーみたいな感じ。ミスは少し出ちゃったけれど、それよりもナイスプレーが多かったです」と高評価を与えた。
8番(194ヤード)と15番(163ヤード)のパー3では、精度を高めた4番ユーティリティでチャンスを作った。「こういうコースはラインを出そうとすると、どうしても振り切れなくなってしまう。怖がらないで振り切るのを意識しました」というのが今週のスイングのテーマ。パーを重ねながらチャンスをじっくりと待ち、波の少ないスコアカードにすることができた。
昨年のプロテストに合格したばかりのルーキーは、これがツアー2試合目。開幕戦では上位争いの末に15位に入ったが、その好調を持続している。開幕戦では「(姉と)一緒の組で回れたらいいなと思います」と話していたが、ともに上位発進とあって、その可能性も現実味を帯びてきた。プロとしての“姉妹初共演”で、最終日最終組で優勝争い…そんなシナリオになれば最高だ。(文・笠井あかり)