<ニチレイレディス 最終日◇18日◇袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(千葉県)◇6621ヤード・パー72>
単独首位から出た山下美夢有が同じ最終組でプレーした双子の岩井明愛、千怜姉妹の追い上げを振り切り、トータル17アンダーで今季4勝目を飾った。昨年は母の日に国内メジャー初優勝。今年は父の日に節目の通算10勝目を挙げた。
4打のリードを持ってスタートした最終日。山下は3バーディ・ノーボギーの「69」と安定したプレーを見せた。「最低でも3つと思っていたので、3アンダーで回れたのは良かったと思います」とスコアも想定通り。10番パー5で明愛がバーディパットを沈めた時点では1打差となったものの、山下もすぐに2メートルを入れ返して再び突き放すなど、終わってみれば3打差。盤石の勝利と言っていいだろう。
それでも、今後の海外メジャーでもバッグを担ぐ予定の藤野圭祐キャディは「追い詰められましたよ。(岩井姉妹の)2人が毎ホール、交互にバーディを獲ってくる感じでしたから」と独特のプレッシャーがあったことを明かした。表彰式での山下の涙は父への感謝の思いがあふれたものだったが、厳しい優勝争いの重圧から解放された安どの感情も含まれていたのかもしれない。
21歳320日での10勝到達は宮里藍の20歳105日に次ぐ史上2番目の年少記録。「早かったと思います。今季の前半戦で4勝できるとは思いませんでした」。年間女王に輝いた昨季からの快進撃が、いかに飛び抜けたものであるかを証明するような記録となった。
国内での圧倒的な活躍の一方で、今季は積極的に海外メジャーへ挑戦することを公言している。7月6日開幕の「全米女子オープン」以外の参戦については明言しなかったが、7月末の「アムンディ・エビアン選手権」、8月の「AIG女子オープン」(全英)も出場が濃厚だ。昨年は全英で13位と健闘。初挑戦であることを考えれば十分な好成績だが、メジャーへの意気込みを問われると「出るからには優勝争いがしたいし、リベンジしたいです」。決して現状に満足することはない。
気になるのは慣れない環境への対応。日本では焼き肉と寿司が好物だが、海外ではなかなかそうはいかない。「日本の食事がないと無理なので、ずっと海外とかは考えられないですけど、1週間ならカレーで乗り切れます。カレーも大好きなんで」。レトルトのご飯とレトルトのカレーを携えて、海外メジャーでも国内ツアーで見せている盤石のプレーを披露する。(文・田中宏治)