<Vポイント×SMBCレディス 初日◇21日◇紫カントリークラブ すみれコース(千葉県)◇6668ヤード・パー72>
デビュー戦の自己採点は「80点ぐらい」。昨年、6度目の受験でプロテストに合格した24歳の青木香奈子は、5バーディ・4ボギーの「71」で回り、首位と4打差の8位タイ発進。アマチュア時代にツアー競技に出場経験はなく、真のプロデビュー戦となったが上々のスコアで滑り出した。
今まではロープの外から見つめていた世界。大勢のギャラリーに囲まれて夢の舞台に立っても、浮足立つことはなかった。「緊張感は当然ありましたが、うれしい気持ちが大きかった。まず楽しんで自分のプレーをしようと思いました」。喜びをかみしめる。
レイドオフのコンパクトなトップから、力強く振り抜くスイングにはすでにファンも多く、細身ながら250ヤードの飛距離とアイアンの切れ味が持ち味。スタートの10番パー4は、2打目をグリーン奥に外して、寄らず入らずのボギーを叩いたがプロ初バーディはまさに青木の真骨頂といえるものだ。
それが12番パー5で、3打目はピンまで残り110ヤードで向い風という状況。9番アイアンを手にすると、得意とするライン出しショットでピンそば50センチにつけた。スーパーショットにギャラリーが沸くと「超気持ちよかった」と満面の笑み。さらに体全体でよろこびを表現した。
このバーディで緊張はほぐれたが、難コースを相手に前半は「37」の1オーバーで折り返す。だがこれも「インの方が難しいと思っていたのでまあまあ」と想定内。後半のアウトに入ると3番でボギーとして一時は2オーバーまで後退したが、4番で「6~7メートル」、5番で「7~8メートル」、8番で「3~4メートル」のバーディパットを沈める。パッティングが主役となって、アンダーパーをマークできた。
練習日には“防戦一方”を想定していた。「バーディをとれるイメージがあまりなかったので、耐えるしかないと思っていたんですけど…。昨日、(武井龍太)コーチとどこに落とすかマネジメントを教えてもらいました。アドバイス通りやったら勝手にピンに寄って、良いところにつけられて入っちゃった感じです」。前日の作戦会議がハマった。マネジメントの大切さを学んだ一日でもある。
デビュー戦にして上位を狙える位置で初日を終えたが、「予選通過が最初の目標なので、明日は自分のできるかぎりのことをしながら、できればいい位置で予選通過したい。楽しみながらプレーできたら」と冷静に話す。
初日を終えて首位に立つのは、プロ15年目でツアー通算5勝の青木瀬令奈。「“青木”の大先輩ですね。最終日優勝争い?それはちょっとおこがましいですね(笑)。でも一緒に回れる機会があったら回らせてもらいたいと思います」。同姓の大先輩とは4打差。2日目のスコア次第では、デビュー戦で“青木同士”の優勝争いも夢ではない。(文・小高拓)