<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 初日◇2日◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県)◇6665ヤード・パー72>
先週の「パナソニックオープンレディース」での5位など、ここまで9試合中4度のトップ10入り。4月22日に千葉県で行われた「全米女子オープン最終予選」も2位で通過し、本戦出場権を手にするなど着実に復調の道を歩く河本結が、メジャー大会でもその状態の良さを発揮している。初日は2アンダー・8位タイ。がっつかず、つとめて冷静なプレーでスコアを作った。
「私、終わるな」…危機感による変化 河本結が送っている“100%ゴルフ生活”
背水の陣で今シーズンに挑んでいる河本結。その覚悟が結果に表れている。
配信日時:2024年5月2日 09時44分
<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 初日◇2日◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県)◇6665ヤード・パー72>
先週の「パナソニックオープンレディース」での5位など、ここまで9試合中4度のトップ10入り。4月22日に千葉県で行われた「全米女子オープン最終予選」も2位で通過し、本戦出場権を手にするなど着実に復調の道を歩く河本結が、メジャー大会でもその状態の良さを発揮している。初日は2アンダー・8位タイ。がっつかず、つとめて冷静なプレーでスコアを作った。
「練習ラウンドで難しく感じたので、イメージを大事に、時間をかけて準備しました」。開幕前に硬く、速いグリーンを目の当たりにし、その対策をしっかり練ったうえでのスタートだった。目指したのは「ボギーは打っても、とにかくダボ(ダブルボギー)を打たないこと」。スタート直後の11番で先にボギーが来たが、「きょうは取り返そうという気持ちを出さない」ことを徹底し、その後のアンダーパーにつなげた。
メリハリをつけながらのプレー。「外してもいい方に外した結果、ボギーを打つのは仕方がない。イライラせずにできたのが良かった」。とはいえ、守備一辺倒だったわけではない。フェーダーの河本にとってイメージが出しやすい右手前にピンが切られた130ヤードの13番パー3では、果敢にピンを狙った。「イメージより曲がらなかったけど、いいところに打てました」。きっちりと5メートルのバーディパットを沈め、ボギーを帳消しにした。
好調の要因について聞かれると、「いい状態を保てるように、100%をゴルフの時間に費やしています」と答える。ゴルフ面ではトレーニング量を増やすなど物理的に練習を長くもしたが、それだけではない。私生活面での節制が大きく変わった部分だ。
食事は添加物を取らないようにし、さらに夜は外食をやめ、栄養士が監修するお弁当を食べる毎日。「ご飯の量、タンパク質、脂質が決まっていて、添加物は入っていないもの」という徹底ぶり。コンビニエンスストアに行くのもやめ、さらに「目のために」とスマホを見る時間も一日1時間30分まで、と決めている。「寝る時間も、(起きる時間から)逆算して」と、その様子はとにかくストイック。それでも「ゴルフが好きなので、それで成績が出てくれたら楽しくて仕方ない」と、決して苦にはならない。
プロ2年目だった2019年の「アクサレディス」でツアー初優勝を挙げ、その後は米国ツアーでもプレーした。だが日本に戻った後の20-21年シーズンにシードを落とすと、22年もメルセデス・ランキング(MR)52位で復帰に失敗。この2シーズンはかろうじて翌年の前半戦出場権は確保したが、MR85位だった昨年はQT(予選会)を回避することができなかった。そのQTでなんとか4位になり、今年の前半戦に出場できるようになったが、このできごとが心に火をつけることになった。
「今年が勝負の年だと思っていた。ここで戻ってこられないと、『私、終わるな』という危機感があって、今年は勝負をかけたいと思えた。生きていたら“転機”があると思う。それが今年かなって」
そしてオフから、節制生活がスタートする。効果を聞かれると「疲労がない。常に(一日を)ゼロからスタートすることができる」と笑う。そして、それが成績につながると、メンタル面にも好影響を及ぼす。「今までが苦しかったので、楽しいですね。ギャラリーが見てくれて、“ワーッ”て言ってくれるうれしさを改めて感じています。それがあるから、私はゴルフに全部かけられるなって」。思い悩んだ時間のことを考えると、多少の制限など苦にならない。
その先に思い描くのは、優勝した自分の姿というよりも、ワクワクした顔で自分のプレーを見てくれる人たちのこと。「もちろん勝ちたいけど、多くの人が感動してくれるのが一番の幸せ。『プロって違うな』ということを見せるのが一番の目標です。目指せ『54』って感じです」。すべてのホールでバーディを―。この“究極の目標”が、今の河本を突き動かす原動力になっている。2日目も静かな気持ちで、アンダーパーを目指していく。(文・間宮輝憲)
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