今季、6年ぶりにツアーへ復帰した元賞金女王の森田理香子が、プロギアによるファン感謝イベント「Smilin’PRGR DAY」に参加。主催者推薦で7試合に出場し、予選落ちが6回。森田は久々にツアーでプレーした2024年を「学びの1年、気づきの1年」と表現した。今季の総括と、向上心をキーワードにゴルフと向き合っていく来季以降の意気込みを語った。(取材・構成/田中宏治)
――シーズンを振り返って
「1年の準備期間もない中で試合に出ることを決め、挑戦させてもらいました。正直、自分もそうですが、周りも期待していなかったと思います。『出るだけでうれしいよ』と言ってもらったりして。そんな中、開幕戦では予選を通過して、距離も出るし、『衰えていないな』と思いました(笑)。
それで浮かれたわけじゃないんですけど、そこからはダメでしたね。ほとんどコースを回っていなかったので、ボールが沈んでいると距離感が合わなかったり…。1カ月に1回のペースで試合に出ていたんですけど、その間に風邪をひいて体調を崩してしまったこともあり、いろいろと難しかったです。6年空くと体の状態も気持ちも全然違う。こんなに変わるんだって、勉強になりました」
――QTにも挑戦した(1次QTで敗退)
「全然ダメだったんですけど、私より年齢が上の方と回って、皆さん楽しそうにしていたのが刺激になりました。私も一生ゴルフをしていくと思うし、レジェンズ(シニア)ツアーもあるので、レギュラーツアーで賞金女王になったので、将来はレジェンズでもと思っています」
――QTが楽しそう?
「別にキャピキャピしているわけではないですよ。ただ、皆さんはゴルフに対して向上心を持って取り組んでいる。適当にやってる人、何も考えていない人と、しっかりと考えている人の違いがすごく分かるんです」
――来季もツアーに出場する
「推薦はもういいかな、と。来年は体とスイングを見つめ直して“ニュー森田”を作ろうと考えています。焦らずマイペースでやっていきます。QTランキングはあるのでステップも含めて、自力で出られるなら出たいですね」
――ニュー森田はどんなイメージ
「昔からクセのあるスイングをしていたんですけど、若いころはそれを若さでごまかせていた。ずっとゴルフをしてきた中で、自分がどうしたらいいかは分かっています。握り方もトップも全部変えて、今の体やクラブに合ったものを模索していこうと思います」
――推薦で出ないというのは?
「推薦をもらって出るだけだと申し訳なく思っちゃうし、そう思うのが嫌なんです。だからQTも受けました。時間はかかるかもしれないけど、自分のクセとかを直して、自信を持てたら、自力でも推薦でも試合に出たいと思います。若い子もどんどん出てくるので、その時に推薦を頂けたらの話ですけどね」
――ツアーの雰囲気は6年前と違った?
「常にバーディを狙っていく若い選手たちのメンタルはすごいなと思いました。私たちのころはスコアを出させないセッティングが多くて、硬くて速くて止まらない(グリーン)というイメージが残っているんですけど、それが今は止まっちゃうんですよ。気候が変わって硬くできないというのもあるんだと思います。それでも対応していくのがプロなので、私には対応力が全然足りないなと思いました」
――若い選手のプレーは参考になる
「どんなトレーニングをしているのか聞いたり、どんな練習をしているのかを観察しました。私はゴルフしかできないし、ゴルフが好きなので、自分のゴルフのためにも、レッスン活動のためにも、いろんな選手のプレーを見るのは勉強になりますね」
――ゴルフが好きというのは6年前にはなかった気持ち?
「あのころはゴルフがしたくなかった。このまま続けて、ゴルフが嫌いになっちゃうのが嫌だったんです。10年ぶりに優勝するプロもいますけど、私には無理だったし、続けられる選手を尊敬しています。試合に出ている時って、ある意味で猫を被っているので、イベントなどでアマチュアの方と接している方が関西人としての本来の自分を出せて楽しいですね」。
――これからも向上心を持ってゴルフを続ける
「卒寿の方とラウンドする機会があったんですけど、90歳でも勝ち気なんですよ。私にはそれが欠けている。(今は)ミスしても腹が立たないですもん。昔はガーンってやって(クラブを叩きつけて)怒られていたくらいなんですけどね(笑)。でも、その方を見て、年は言い訳にならんなと思いました。今は向上心しかないです」