<ヤマハレディースオープン葛城 3日目◇1日◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)◇6480ヤード・パー72>
今季、ボギーフリーを目標に掲げる吉田優利が3日間でボギーは2つだけという安定したプレーを見せ、首位に1打差の9アンダー・2位タイという絶好の位置で最終日を迎える。昨季は何度となく優勝争いを演じたが、惜敗続きで優勝はゼロ。あと一歩はバーディを増やせば埋まるのか? ボギーを減らせば埋まるのか? 吉田は後者に重きを置いて通算3勝目を狙う。
まだプロになったばかりのころ、吉田にセールスポイントを尋ねると「マネジメント」という答えが返ってきた。他の選手に同じ質問をすれば、ほとんどの場合「飛距離」「アイアンの切れ」あるいは「ショートゲーム」といった答えが返ってくるだろう。マネジメントは経験によって身につくというイメージがあるだけに、ルーキーの答えとしてはなかなかインパクトのあるものだった。
そんな吉田が今季、強く意識しているのがボギーフリーのラウンド。実際に今大会では初日がボギーなし、2日目、3日目は1つずつと目標に近いプレーを続けている。「もっとピンを狙ったら、もっとバーディが増えるかもしれないですけど、そのぶん、ボギーも打つと思うので、今のマネジメントでいいと思っています」。ラウンド中は自然と安全な位置に乗せてパターで勝負しようと考えることも、ピンを狙いたい気持ちをグッと抑えることもあるという。
2シーズンぶりの優勝へ、最終日は展開次第でさまざまに感情が揺れ動きそうだが「優勝争いっていうのはやってる自分が一番冷静。どういう判断をするかは分からないですけど、一番いい判断をしたいと思います」。優勝争いの真っただ中にいる自分を一番冷静と言い切れるのは吉田の強味。どんな場面になっても浮足立つことがないから、セールスポイントにマネジメントを挙げられるのだろう。
「難しいコースなので、何があるか分からない。前半に流れをつかめなくても、最後まで諦めずにプレーしようと思います」。このままボギーを打たないマネジメントを最後まで貫くのか、どこかでリスクを冒してでも攻めなければいけない場面が訪れるのか、最終日の吉田のマネジメントに注目すれば、試合の流れも見えてきそうだ。(文・田中宏治)