＜スタンレーレディスホンダ　初日◇6日◇東名カントリークラブ（静岡県）◇6590ヤード ・パー72＞

福井県で行われた「日本女子オープン」も終わり、今週の国内女子ツアーは静岡県に場所を移し開催される。1980年にスタートし、9年間の中断期間を経て今年が35回目。伝統の東名決戦はどのような展開になるのか？　青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏に、現地情報も踏まえ今週も占ってもらった。

■東名のアップダウンを制するのは？

2003年から使用されている東名カントリークラブの最大の特徴といえば、アップダウンの激しさ。大西氏も「いかに距離感を合わせるか」という部分に注目する。さらに本戦では風の予報も出ており、まずはその対処法が明暗を分けることになりそうだ。

一方で開幕前のグリーンは軟らかく、スピードも出ていない状況だと話す。「ラフからも止まるので、ピンをデッドに狙える人が上位に来ます。スピンコントロールも重要になってきますね」。ドライバーよりもアイアンでライン出しをする、抑え目のショットを打つ…こういったスキルが求められる。ただ、ラフを恐れずに打てるという点を裏返すと、ティグラウンドで積極的に振り、距離のアドバンテージを持つ選手は有利にもなる。

だが大西氏は、現在のグリーンの重さは雨の影響が大きいという話もコース関係者から聞いているという。19、20年と2年連続で短縮競技になるなど“雨のイメージ”も強い大会だが、しっかり晴れ渡る3日間になれば、最終日に向け難コンディションになることも十分に予想される。とはいえ、そこは神に祈るしかない部分。まずはアップダウン対策を念頭に置くことが大事になりそうだ。

■セカンドショット以降が明暗分ける…注目の3人は？

それを踏まえ、真っ先に大西氏が優勝候補として名前を挙げたのが前年覇者の小祝さくら。「ピン方向へ打っていいとなれば、小祝選手は外せません」。今季の平均飛距離は251.15ヤードでツアー15位。さらに多彩なアイアンショットを駆使するプレースタイルは、ここまで話してきた条件に一致する。週末に“連覇”という見出しが躍る可能性を、まずは口にした。

「当然、候補に割って入ってきますね」と次に挙がったのは原英莉花で、2週連続優勝という結末も頭に描く。「ライン出しもできる選手ですし、セカンドショット以降で思うように打てている印象です。練習場でも鋭い球を連発していました」。幼少期から練習していたコースの影響もあり、「イメージが出やすい」と起伏は得意であることも自負している。先週もアップダウンが厳しいコースを攻略しており、「そのイメージのままいけますね」と大西氏も太鼓判を押す。さらに今季のパーオン率が74.7778％で全体2位というデータも心強い。

「この2人のプレーオフという展開も考えられますね」という日曜日の盛り上がりも想像するが、それに加えて注目するのが今季日本ツアー2試合目の出場となる笹生優花だ。「パワータイプではありますが、抑えたショットも打てる。キレイな素晴らしい球が出ていました」と、その技に目を奪われた。大会名の冠になっているホンダとスポンサー契約を結ぶホステスプロということもあり、それも力になるはず。今季唯一の国内ツアーでも2位になっており、先週まで米国で戦っていた強行日程への不安を吹き飛ばすような活躍に期待をかける。

3人に共通するのは、ライン出しがうまく、低い球を打て、アイアンの方向性がいいという部分。昨年の小祝以前の優勝者を見ても、21年の渋野日向子、20年の稲見萌寧ら、しっかりと距離も出せるショットメーカーの名前が目につく。観戦の際には、セカンドショット以降のできにぜひ注目していきたい。

解説・大西翔太（おおにし・しょうた）/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす！！ 飛距離アップの正解』が発売中。