<ダイキンオーキッドレディス 3日目◇8日◇琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)◇6610ヤード・パー72>
この日のベストスコアとなる「67」で回った申ジエ(韓国)が、首位と2打差のトータル3アンダー・3位タイに浮上した。ボギーは1つだけで、6バーディを奪う圧巻のゴルフ。10番では6メートルのバーディパットを沈めて勢いに乗ると、後半は「31」をマークする怒とうの追い上げを見せた。
最終18番のパー5では残り240ヤードからピン左10メートルに乗せ、難なくバーディで締めた。「2打目のクラブは3番ウッド。フォローの風だったので大きいかなと思ったけど、高い球を打つことで対応した。ライも良かったので、ヘッドを上から入れるイメージで打った」。テクニックとパワーが融合した元世界ランキング1位の会心ショット。2オンは必然だった。
昨年は「パリ五輪」出場を目指し、米国女子ツアーへ積極的に出場した。その影響で、日本ツアーシード選手としての出場義務試合数をクリアできなかった。そのため今季は、2018年に国内メジャー3勝を挙げて翌年から自動的に行使された7年間の複数年シード資格で出場している。(19年のツアー規定改定により、現在は資格獲得から10年以内に任意で行使できる)
23年に優勝したこの大会も、昨年は海外を優先して欠場。罰金100万円を支払った。「ディフェンディングチャンピオンとして昨年の大会に出られずに、心が重かった。スポンサーさんにもご迷惑をおかけしました」。今季は日本ツアーに専念。「海外の試合は全米、全英と韓国の1試合くらい。日本のツアーに集中したいです。そのために自分で決めた目標もいくつかあります」。
大きな目標は、メルセデス・ランキング1位での年間女王獲得と、米ツアー・韓国ツアーに続く賞金ランキング1位。そして、あと2勝を挙げてツアー通算30勝に到達し、永久シードを獲得することだ。
さらに、節目の300試合出場となる今大会では新記録の樹立もかかる。現在、ジエの生涯獲得賞金は13億7202万3405円。単独42位以上に入れば、不動裕理の13億7262万382円を超えて歴代1位となる。ただ、「毎試合、一生懸命にやってきた結果。韓国でも注目されていますが、『そこは私の目標ではありません』と答えています」と視線は先に向いている。
前週は台湾ツアーで2位に入り、調子は春先から上向き。「周りの人たちからは『早く優勝が見たい』と言われている。その応援に応えるためにも頑張りたいです」と意気込む。
2年前は3日目に首位に立ち、2位に3打差をつけて逃げ切り優勝を果たした。今回は2打差を追いかける展開。逆転Vで永久シードに王手をかけ、不動超えの新たな歴史を日本ツアーに刻む。(文・臼杵孝志)