プロ5年目の昨年9月に「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で悲願のツアー初優勝をつかんだ安田祐香。兵庫・滝川第二高時代から大きな期待を浴び続けた大器が、ようやくプロとして美しい花を咲かせた。そして今オフは、さらなる進化を求め「はじめて」という海外合宿にも臨んだ。デジタルマーケティング事業などを手がけるスポンサー企業の『トランスコスモス』のサポート受け、タイで合宿。次なる目標達成へとつなげる充実の10日間の様子を本人聞いた。現地でのオフショットも含め、3回に渡りお伝えする。今回はゴルフ面のお話を。
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「暑いですね」。そういって浮かべる笑顔が、順調なオフを過ごしていることを物語っている。現地入りは1月26日(日)。そこから2月4日(火)の深夜便で日本に戻るまで、パタヤとバンコクで10日間の合宿に励んだ。12月は関係各所への挨拶回りやイベントなどで忙しく過ごし、本格的に地元・神戸で打ち込みを開始したのは年明けの1月に入ってから。さらに沖縄で青木瀬令奈と3日間をともにし、そのギアをタイでさらに上げた。
優勝し、キャリアハイとなるメルセデス・ランキング15位と結果を残した昨季だったが、課題も残した。「洋芝に苦戦していたので、ボールにしっかりヒットできるよう最下点を少し左にしたり、安定したトップを作れるように、とか。そういう部分に気づけたシーズンだったので、そこをオフに調整して、シーズン中も続けていきたいですね」。タイでは連日ラウンドで汗を流し、体に理想の動きを染み込ませ続けた。
やはり“1勝”は、気持ちを前向きにさせる。「さらに優勝したいと思うようになりました。タイでもゴルフに集中する時間が増えたと思います」。いい息抜きの時間も入れながら、日中はコースでしっかりとクラブを振り抜く。強く意識するのは、当然ながら「2勝目」だ。
そんな安田を、チームも一丸となり支えている。この合宿にはコーチの坂田雅樹氏やキャディーも務める姉の美祐さん、そしてトレーナーの真栄城輝也氏らも帯同。練習後には、トレーナーとともに基礎体力アップのためのトレーニングにも余念がない。シーズン中も毎週月曜日は、必ずトレーニングを組み込んでおり、そのままの流れを異国でもキープすることができた。
「初日からかなり動けました。パタヤも過ごしやすかったし、トラックマンで(データを)計っても『振れてるな』って感じました」。まだ寒空が広がる日本を離れた効果を実感する毎日でもあった。
この機会を提供してくれたトランスコスモスに対しては、深々と頭を下げるような気持ちだ。「全面的にバックアップしていただき、すごく感謝しています。ノビノビとゴルフができるようにサポートしていただいているので、こうやって何も気にすることなくできています」。春先からしっかりと活躍する姿を見せることが、最高の恩返しになる。
高校時代からプロのコースを沸かせてきた安田も、昨年の12月24日には24歳を迎えた。脂も乗り、さらに大きな成果を手にしたい。入念に新たなクラブのテストも重ね、“心技体+物”が整いつつある。「優勝争いがたくさんできるように戦っていきたい」。3月6日に沖縄で開幕するシーズンを見据えていく。(文・間宮輝憲)