<Vポイント×SMBCレディス 最終日◇23日◇紫カントリークラブ すみれコース(千葉県)◇6668ヤード・パー72>
国内女子ツアーの最終日は、大会を特別協賛する三井住友銀行とスポンサー契約を結ぶ吉田優利が2位に9打差をつけ圧勝した。米国女子ツアーメンバーの実力をいかんなく発揮した3日間で、最終日も4バーディ・1ボギー・1ダブルボギーの「71」と危なげないゴルフで勝利を手にした。
その勝利を支えたクラブを見ると、2月に出場した「ファウンダーズカップ」時から替わっていたのが58度のウェッジ。全体的に研磨されたソール形状が特徴だが、その意図について本人は、「米国の芝はボールが浮かないので、地面みたいな芝で(フェースを開いても)ペタッとバンスがついてくれるようにしてもらいました。(国内の)今週は芝の状態はよかったですけど、春先でまだ生えそろっていないところではすごくよかった」と話す。季節柄もあり、バチっとハマった。
大会3日間のリカバリー率は82.352%(14/17)を記録。2日目にはその58度のウェッジでチップ・インを2発決めるなど、しっかりとフィットしている。ブリヂストンの担当者は「シーズンオフにフェースを開きやすくしたり、グースを少なめにして作りました。フェースを開いた時、リーディングエッジが浮かずにペタッとつくよう、研磨職人とやりとりし、吉田プロの希望に沿った形状にするため、全体的に削りました」と明かす。本来のバンス角は10度ほどだが、それが4度程度になっている。こちらは形状確認用に旧モデルで作成されたが、今後は最新モデルでも同様のものが作られるようだ。
同じ米ツアー組の渋野日向子も、こう証言する。「優利ちゃんは本当にアプローチも上手。世界レベルだと思う。いつも練習してるのを見たり、たまに練習ラウンドで一緒になるときに見てるんですけど、なんでこんな(クラブの)使い方ができるんだろうと思ってました」。仲間も認める技術が、そのままスコアに表れた。
ドライバーはブリヂストンの『B1ST』を使用。もともとロフトは9.5度だったが、「昨年の夏頃から連戦中でつかまりが悪くなってきて、ボールの高さがもう少し欲しいなどの事情で10.5度のヘッドに変更しました」(同担当者)。フェアウェイキープ率は83.333%と、こちらも高水準を記録した。
そして、それに合わせるシャフトは、2023年に「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」を制した時と同じ、藤倉コンポジットの『スピーダーNXグリーン 50S』。今週、同社の担当者が感触を聞いたところ「完璧です!何も問題ないです!」と即答するほど満足度は高い。また同担当者は「新製品の案内をしたところ、『(現在のシャフトを)テストしたとき、フィーリングもデータもめちゃくちゃよく、これはなかなか超えられないと思う』と話していたのが印象的です」という裏話も明かす。5番ウッドまで同シャフトで染める、まさに“相思相愛”のエースだ。
またアイアンは、昨年6月の「KPMG全米女子プロ選手権」の会場で試し、そのまま使用する同社の新モデル『241CB』を使用している。20球ほど打ってすぐに投入を決め、「抜けがいい」というお気に入りのクラブになっている。
今大会は高速かつ起伏の読みづらいグリーンに苦しむ選手が多いなか、吉田の平均パットは「26.00」で全体1位を記録した。もともとパター巧者なのは言うまでもないが、2位の「27.33」に大差をつけている。握っていたのはオデッセイのパター『ジラフビームDW』。最も難しい17番を3日とも1パットのパーで切り抜けるなど勝負所で冴え、3パットは最終日の3番のわずか1つだった。
【吉田優利の優勝セッティング】
1W:ブリヂストン B1ST(10.5度/スピーダーNXグリーン 50S)
3W:テーラーメイド SIM2 MAX(15度/スピーダーNXグリーン 50S)
5W:キャロウェイ パラダイム Aiスモーク MAX(19度/スピーダーNXグリーン 60S)
4U:ブリヂストン ツアーB JGR(22度/ATTAS EZ370 75S)
5I~PW:ブリヂストン 241CB(KBS ツアー90S)
48,52度:ブリヂストン BRM2(KBS ツアー90S)
58度:ブリヂストン ツアーB XW-Bプロトタイプ(KBS ツアー90S)
PT:オデッセイ GIRAFFE-BEAM DW
BALL:ブリヂストン ツアーB X