ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。きょうは、初優勝から2週連続優勝を飾った竹田麗央さんについてお話しながら、いろいろ考えてみたいと思います。
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初Vから一気にブレイクする選手は“自分をしっかり持っている”【原田香里のゴルフ未来会議】
今週の原田香里はツアー初優勝から2週連続Vを飾った竹田麗央について語る。
配信日時:2024年4月24日 02時30分
ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。きょうは、初優勝から2週連続優勝を飾った竹田麗央さんについてお話しながら、いろいろ考えてみたいと思います。
今季、開幕から8試合に出場され、最終日最終組でのプレーは5回。どれだけ調子がいいのかわかりますが、初Vはその4回目の「KKT杯バンテリンレディス」でした。「ヤマハレディースオープン葛城」では、首位で最終ラウンドに入りながら逆転負けして大泣きした姿がテレビにも映っていましたが、これを糧にしたことは、2週連続優勝で一気にメルセデス・ランキング(MR)トップに立ったことでも明らかです。
2021年11月にプロテストに合格した竹田さんは、昨年37試合に出場して8試合でトップ10入りし、MR22位で今シーズンはシード権を獲得しています。24年は、2戦目の「明治安田生命レディス」で5位に入ったあと、たびたび優勝争いを演じており、初優勝が待たれていました。
その期待に応えた翌週に早くも2勝目を飾っています。初優勝からの2週連続優勝は、西田智慧子さん、表純子さん、岩井千怜さんに続く史上4人目の記録だそうです。何度も優勝争いをしてなかなか勝てなかったのに、初優勝したあと一気にブレイクする。そんな選手はこれまでにも何人か出ています。その筆頭が、ツアー通算50勝で生涯獲得賞金No.1の永久シード選手、不動裕理さんです。
プロ入りするとすぐシード選手となった不動さんは、1998年には11回のトップ10入りをして、そのうち2位が2回ありました。翌99年11月の「伊藤園レディス」で初優勝したのですが、それまでのトップ10入りがなんと14回ありました。15回目が初優勝。さらにもう1試合トップ10入りしてシーズンを終えています。
2000年には6勝して賞金女王となると、ここから6年連続女王タイトルを取る圧倒的な強さを見せたのです。勝てずにいた時代に力を確実につけ大きく花開いたと言っても過言ではないでしょう。このように改めて振り返るとプロ入り4年目のシーズンで賞金女王になったことは、本当にすごいですよね!
近いところでは、西郷真央さんもそうでした。19年のプロテストに合格したのですが、翌20年はコロナ禍で開幕から試合がなくなるまさかの事態。それでも、試合が再開され、翌21年と合わせたロングシーズン50試合で21回トップ10入りしています。そのうち2位が7回。勝てないままシーズンを終えたのですが、22年に開幕から一気に爆発します。開幕戦で初優勝すると、10戦5勝の快進撃を遂げたのです。
その後、スランプに見舞われますが、このときの勢いはまさに勝てなかった時代の蓄積の賜物と言っていいでしょう。現在は、復活して米ツアーでプレーしているのはご存じのとおりです。
勝てなくても優勝争いを繰り返した経験はとても重要だということ、この二人や竹田さんを見ているとよくわかります。毎週違うコースで行われるツアーでは、当然芝質もバンカーの砂も違います。天気も毎日違うというゴルフツアーの特性のなかで、大きくものを言うのが経験値なのです。
これを重ねることは、強さにつながります。ただ、それができるためには、自分をしっかりと持ち続けていることが大切です。プロゴルファーである以上、1勝しただけでは終わりたくないのはみんな同じです。けれども、優勝すると周囲の環境がガラリと変わります。ファンが増え、メディアの取材が増え、メーカーさんの扱いも変わり、スポンサーさんも増える。これに勘違いしたり、自分を見失ってしまうケースはいくらでもあるのです。
ただ、ここから何勝もできる選手は、環境が変わっても自分自身はしっかりと保ち続けています。やるべきことをやり続け、結果は結果として受け止める。これができるからこそ、強いのではないでしょうか。
自分自身を振り返っても、初優勝(1992年のミズノオープン)のあとは、生意気にも「次はメジャー(公式戦)」と目標を定めていました。決して思い上がっていたわけではなく、優勝で満足しないという意味で…です。
おかげで、翌93年には「日本女子プロゴルフ選手権」で勝つことができ、その後も勝ち星を重ねることができました。ただ一つ、戒めとして持っていたのは「天狗になっちゃダメ」ということでした。優勝して自分に自信がついて、行動や発言に強気な感じが出ても、そこはプロゴルファーとしてよいところだと思います。
ただ、心の奥底には謙虚な気持ちを忘れないように心がけていました。なかなか若い頃の私には難しかったですが、今になって謙虚さの大切さがしみじみ感じられます。常に頭にある、と言ってもいいほどです。
自分のペースをしっかり持っていること。その点では、竹田さんもそうかもしれません。ご存知の方も多いと思いますが、熊本出身の竹田さんのお母さんは平瀬哲子さん。若い頃にはツアーに出場していたプロゴルファーです。6歳でゴルフを始めた麗央さんは、師匠としてお母さんの名前を挙げています。
プロ入り当時はキャディもしていた哲子さんの妹は、平瀬真由美さん。彼女も淡々とゴルフをするタイプで賞金女王に2回なり、米ツアーでもプレー。現在は解説者としても知られています。竹田さんが優勝した2試合も、偶然ですが解説をしていました。竹田さんがその功績に続くことができるのかは、どんな心持でゴルフを続けられるか次第だと思います。
■原田香里(はらだ・かおり)
1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部で腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。
原田香里のゴルフ未来会議
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