<樋口久子 三菱電機レディス 初日◇27日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6650ヤード ・パー72>
今季の国内女子ツアーも、出場選手が限定される来週の「TOTO ジャパンクラシック」、シーズン最終戦の「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を含めても残りはわずかに5試合。ここから女王争い、シード争いもさらに激化していく。正念場に入っていく試合の展開を、青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が占う!
今季イチの“バリ硬グリーン”がお出迎え ショートゲームを制する者が武蔵丘を制す!【大西翔太のSHOWTIME】
いよいよ女子ツアーも残りわずか! 今週のコースは大西翔太氏もびっくりの、タフな状況に…。さて、それを攻略する選手は一体誰だ?
配信日時:2023年10月26日 22時15分
<樋口久子 三菱電機レディス 初日◇27日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6650ヤード ・パー72>
今季の国内女子ツアーも、出場選手が限定される来週の「TOTO ジャパンクラシック」、シーズン最終戦の「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を含めても残りはわずかに5試合。ここから女王争い、シード争いもさらに激化していく。正念場に入っていく試合の展開を、青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が占う!
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■今年イチ硬く仕上がったグリーンで大事になるのは…
大西氏が、今年の武蔵丘を訪れて「一昨年、去年とまったく違いますね」と目を丸くした部分がある。それがグリーン。「今季、一番の硬さです」と断言するほどの仕上がりだ。練習ラウンドでは、こんなシーンにも直面した。5番ユーティリティで打った青木のショットが、縦38ヤードあるグリーン手前エッジを少し越えた場所にキャリーすると、そこから30ヤードもラン。奥まで転がっていったという。「ウェッジでも止まりません」というほどの、“バリ硬”仕様はこんなエピソードからもうかがえる。
「初日からは速さも出るという話を聞きました」というだけに、選手たちは戦々恐々としながらショットを打つことになりそう。ラフからではなおさら止まらないため、フェアウェイキープは上位への最低条件になる。「選手のレベルは上がっていますが、優勝スコアは一桁になると思います。3日間で10アンダーいけば(優勝は)確実と言えるのではないでしょうか」。去年、一昨年の優勝スコアも9アンダーと一桁だが、それ以上のタフな戦いを頭に描いてコースに出ることになる。
いいショットを打っても、微妙に傾斜もある気まぐれなグリーンではどういう結果になるか、“神に祈るだけ”というケースも多いはず。そこでまずは「パー5で獲って、パー4で耐える」というのが基本戦術になるとも話す。そこで重要になってくるのが、ショートゲームのでき。「常に2~3メートルの微妙なパーパットが残る選手が多くなるはず。それを入れ続けられるか。アプローチ、そしてパターがカギを握りますね」。ストレスがかかる状況を乗り越えていった先に栄冠が待っている。
■優勝候補たちに共通しているポイントは?
これを踏まえ、大西氏が真っ先に活躍をイメージしたのが、小祝さくらだ。過去5回出場し、すべて予選は通過。2018年が2位、19年が3位で、昨年も11位タイと相性は悪くない。今年のコースでも入念にアプローチ、パターを確認する姿を目撃したという。「頭がいい選手なので、ちゃんとそこに重きをおいているように見えました。パターの転がりもものすごくいいですし、ライン出しのショットも打てる」。今季2勝目がここで来ても、なんら不思議ではないほどの仕上がり具合だ。
そして2人目に名前を挙げたのが吉田優利。こちらは21年の13位タイが最高順位だが、アマチュア時代から出ている大会で、ここまで5試合に出場して予選落ちはない。もともとアプローチ、パターが生命線というプレースタイルも、これまでの話に合致する。「この2人は、パターを決め打ちできるという共通点があります。どうしても2~3メートルの距離は合わせ打ちしたくなるもの。ただ小祝さん、吉田さんは、しっかりと芯でとらえてパチンと打つことができます」。そんなアグレッシブなパッティングが、勝利を手繰り寄せるために必要になってくると大西氏は考えている。
もうひとりの優勝候補は菅沼菜々。先週、兵庫県でシーズン2勝目を手にし、勢いがあるまま埼玉県に入った。「シビアなパーパットが、“えぐいくらい”入ってました」と、パットにも支えられた勝利だっただけに、今週も期待大というわけだ。こちらも昨年5位タイ、一昨年が3位タイとコースにも順応。2週連続優勝の可能性も十分にありえる。
繰り返しになるが、カギはグリーンと、その付近にあり。「アプローチもフェースを開く、閉じると万能で、ショットの球の高さにバリエーションがある選手が目立ってくるはずです」。昨年は、金田久美子が1988年のツアー制施行後では最長ブランクとなる11年189日ぶりの優勝を挙げるという“劇的な地”になった。ショートゲーム対決を制し、最後に緊張から解き放たれたように笑う選手はいったい誰になるのだろうか。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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