今季第2戦「Vポイント×SMBCレディス」に米ツアー組が襲来した。同週に開催予定だった「ファーヒルズ朴セリ選手権」が急きょ中止になったことで、米ツアーを主戦場にする6人が国内ツアーに参戦。そして唯一の2桁アンダーで、米ツアー組の吉田優利が圧勝。岩井千怜と勝みなみが3位、渋野日向子6位、岩井明愛7位と上位を独占し、世界の強さを証明する形になった。
渋野にとっては、国内単独開催となれば、昨年8月「meijiカップ」以来の出場になった。初日から出遅れて予選落ちを喫したが、今大会ではトップ10入り。日米通せば、昨年6月の海外メジャー「KPMG全米女子プロ」以来、9カ月ぶりのこと。Vポイント(CCCMKホールディングス)とスポンサー契約を結ぶ、ホステスプロとしての役目も全う。「すごく楽しかったです」と、最後まで明るい笑顔で過ごしていたことが印象的だった。
開幕前には「先輩方に“お久しぶりです”と声をかけたら“おかえり”と言ってくださる。同級生も多いので久しぶりに会えてうれしかったです」と話していた。それと同時に、「若い選手が増えていて、知らない子もいるな、っていう選手も何人かいたりしました」と日本ツアーの印象を語った。
「TOTOジャパンクラシック」を制した竹田麗央、そして米最終予選会(Qシリーズ)を突破した山下美夢有、千怜、明愛、馬場咲希が、今季から米ツアーを主戦場に移した。昨年のメルセデス・ランキングトップ5のうち4人が世界へ。そして今年の日本ツアーは、若手が躍動している。
開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」に続き、19歳の菅楓華が2試合連続の2位。昨年のJLPGAプロテストに合格したルーキーでは、荒木優奈、吉田鈴、入谷響、青木香奈子らが上位に顔を出した。
今大会の2日目、渋野は菅と同組になった。渋野は菅のプレーについて「本当に淡々とプレーしている。軽く振っている感じでも飛ぶし、リズムもいいし、パッティングもうまい。あまりにも強心臓すぎて…見習います(笑)」と称賛。そして米ツアーを志す選手として、こんなアドバイスも送った。
「菅ちゃんとは『若い時にいろいろ挑戦することはすごく良いことだと思う』って話しました。それはみんな(ほかの選手も)一緒で。自分もいろいろと挑戦してきた。日本だけではなくて、世界で戦える選手ばかりだと思うので、いろんな経験をしてほしいです」
渋野は21年のQシリーズに挑戦して古江彩佳とともに突破し、今年で4年目のシーズン。翌年からは勝みなみと西村優菜、西郷真央と吉田と続き、さらに後輩が増えた。今季自身初戦だった米女子ツアー「ファウンダーズカップ」でも、日本勢の増加について、「すごく楽しみな気持ちでいっぱい。でも負けないようにしっかり頑張りたい。私たちの年が1番上ではあるので、最年長として引っ張っていけるようには全力を尽くしたい」と話していたが、先輩として、これまでの経験を惜しみなく伝えていくつもりだ。
菅もすでに、米ツアー挑戦を目標にしている。「ギャラリーさんが多いなかで緊張したけれど、(渋野が)すごく話しかけてくださった。いい経験ができるから、と言ってくださって、私もアメリカに行きたい気持ちがあるので、いい言葉をもらいました」と胸を膨らませている。
日本のゴルフのレベルが上がり、世界へ挑戦する選手が多くなった。先輩たちのプレー、姿、そして言葉が、後輩たちの背中を押して支えになっていく。(文・笠井あかり)