千葉県船橋市にあるゴルフ練習場『丸山ゴルフセンター』を訪れた。その日、敷地内に設置されている、一見するとプレハブ小屋のような建物のなかでは、トラックマン(弾道計測器)が弾き出す数字を画面に映し出し、それをもとに選手とコーチによるスイング作りが行われていた。外見だけでは想像できないが、ここはシミュレーションゴルフ機器も完備されている最先端の練習場だ。
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上田桃子、吉田優利…チーム辻村の選手が腕を磨く“秘密基地”があった! 『情熱』と『最新機器』が同居する空間
チーム辻村の“秘密基地”に潜入。そこでは何が行われている?
配信日時:2024年3月20日 03時00分
千葉県船橋市にあるゴルフ練習場『丸山ゴルフセンター』を訪れた。その日、敷地内に設置されている、一見するとプレハブ小屋のような建物のなかでは、トラックマン(弾道計測器)が弾き出す数字を画面に映し出し、それをもとに選手とコーチによるスイング作りが行われていた。外見だけでは想像できないが、ここはシミュレーションゴルフ機器も完備されている最先端の練習場だ。
クラブを振っていたのはプロテスト合格を目指す21歳の千田萌花で、熱心にアドバイスを送るのが辻村明志(はるゆき)コーチだ。“チーム辻村”といえば、ゴルフファンならば一度は耳にしたことがあるはず。これまでに上田桃子、吉田優利ら多くの選手を指導し、今年から渋野日向子もその門を叩いた。そのチームメンバーの活躍を支える要因のひとつが、この建物、すなわち『G_BASE』だ。
『コンテナ型ゴルフルーム』と銘打たれているG_BASE内の雰囲気は、まるで“秘密基地”のよう。これはスイングするのに十分なスペースがあるインドアゴルフ空間を、業界で初めて「パネル構造」により実現したもので、「吸音機能」も完備。株式会社RIMが手がけ、家や職場などに後付けで設置することを目的にした練習施設だ。
辻村氏に指導を受ける選手たちは、そこで多くの時間を費やしている。G_BASEが、丸山ゴルフセンターに登場したのは昨年5月頃の話。そして辻村氏自身、設置されてから1年弱のあいだに多くのメリットを感じてきたという。
「まず練習はじめに(屋外の)打席で打って、少しおかしいなと思ったらG_BASEに入り、数字と照らし合わせる。それでまたいい感じだなと思うことができたら、外で打つ。こうすることでボールが生きている感じが出てくる。現在の課題に対して(選手への)伝え方を増やすことができました」
これまで辻村氏は、指導するうえで感覚、すなわち“自らの目”を重視してきた。もちろん、そこが基本になるのは今も変わりはない。しかし自らの感覚にトラックマンが弾き出す数値を重ね合わせることで、考えの“裏づけ”になったり、また“補強”されたりする場面も多くなったのも事実だ。
今も「“この数字を絶対に、ここまで上げろ”とか、そういう数字先行の教え方はしたくない」と前置きはするが、「数字を確認することで、『自分の考えが正しかった』など自信を持つことができます。選手にはそれぞれクセもありますし、悪くなる部分を最小限で食い止めるためにも有効ですね。『気づいた時には手遅れ』と『気づいた時はまだ前段階』というのでは、まったく違いますからね」ということを実感している。
上田をはじめ、選手たちはオフや試合の合間にこの基地にこもり、自分のスイング傾向などを頻繁にチェックしているともいう。取材をした日も、吉田が“ふいに”ここを訪れ、ひとりで確認作業に入る姿を見ることもできた。G_BASEの感想について聞くと、「とってもいいですよ」という答えが笑顔とともに返ってくる。
この設備は、例えばクラブテストの際にも、大きな効果を発揮する。クラブ性能やスイングとマッチしているかを可視化できるからだ。「活躍している選手ほど数字のバラつきが小さいのも事実」(辻村コーチ)。こんな共通点も、根拠があるなか確認できる。この秘密基地で、きょうも選手とコーチによる検証、実践は行われている。
もともと『寒冷地でもしっかりと練習してもらいたい』という願いを実現するために開発された練習設備なだけに、暑さ、寒さをしのぎながら体を動かすことができるのも大きな魅力。特に異常気象が続く昨今であれば、なおさらのこと。「体調管理の面でも有効ですね」と、辻村氏はその効果にもうなずく。
「自分の感覚をよくしたり、正しいことをしているかを確認するのに最適。それを基に生まれるドリルだってある。G_BASEのなかでパターも含め、全部練習できるのはいいですよね」
これは個人でも設置でき、例えばシミュレーション機器は置かずに、建物のなかにネットのみを置くなど、その作り方も自由自在。「庭や、会社など“置くスペース”さえあれば、いつでもすぐにボールが打てることは魅力。毎日、少しでも打つということがゴルフは大事。1週間に1度1000球打つよりも、毎日50球打つ方が絶対にうまくなりますから」。この言葉を聞くと、アマチュアゴルファーにも効果が大きいように感じる。
目の前にはじき出されたスイング数値を納得いくものにするため、次々とボールを打ち込む千田。数字に背中を押される―、そんな気持ちがあったようにも見えた。“最新機器”と、どこか懐かしさを感じる“熱血指導”が同居する空間。チームメンバーが現在の群雄割拠の女子ツアーで活躍を続けられる秘密のひとつを見つけられたような気がした。
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