白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。その今季全37試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■伊藤園レディス(11月8~11月10日、千葉・グレートアイランド倶楽部、優勝:山内日菜子)
今季の年間女王が決定した大会最終日。しかし、その本人である竹田麗央は前日に予選落ちし、不在という異例の事態となった。メルセデス・ランキング2位の山下美夢有の最終順位が女王戴冠の行方を左右する中、波乱の一日が幕を閉じた。
竹田が女王の座に就く条件は「竹田の優勝」または「山下の成績次第」にかかっていた。具体的には、山下が「7人以上の2位タイ」「4人以上の3位タイ」「単独4位以下」に終わる必要があった。
山下は最終18番で痛恨のボギーを叩き、5人が並ぶ4位タイに。その結果、竹田がランキングトップの座を守り、“新女王”が誕生した。
その頃、竹田は地元・熊本の自宅で日常を過ごしていた。「部屋の片付けや荷物の整理をしていました。散らかっていたので片付けなきゃと思って」と笑顔で語った。合間には協会公式ホームページでスコア速報をチェック。「美夢有さんは絶対に上がってくると思っていたので、今週に決まるとは思わなかった。来週、自分で決めるしかないと思って待っていました」という竹田に、思いがけない吉報が届いた。
日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)によると、年間女王決定時に本人が会場にいなかったのは1988年のツアー制度施行以来初めてのこと。急きょリモートでの会見が行われ、モニターに映し出された竹田は赤いウェア姿で喜びを語った。
「こういう形になって申し訳ないです。予選通過できなくてすみませんって感じです(笑)」。竹田は恐縮しながらも笑顔。この“リモート戴冠”は日本女子ツアー史に残る珍事となった。