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スイング改善、肉体改造、“頭の筋肉痛”… 5度目の挑戦で合格つかんだ六車日那乃と辻村明志コーチの“二人三脚ストーリー”

5度目の挑戦でプロテストに合格した六車日那乃の物語。

所属 ALBA Net編集部
小高 拓 / Hiromu Odaka

配信日時:2024年11月12日 11時45分

やっとこの日が… 六車日那乃が合格まで取り組んできたことは?
やっとこの日が… 六車日那乃が合格まで取り組んできたことは? (撮影:福田文平)

元ナショナルチームの22歳、六車日那乃(むぐるま・ひなの)は今年、5度目のプロテスト挑戦でようやくうれし涙を流すことができた。「辻村さんがいなかったら私は消えていたかも知れない…」。それは上田桃子らを指導する辻村明志コーチと二人三脚で取り組んできた3年間の結晶だった。

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毎年600人以上が受験し、最終プロテストに合格するのは上位20位タイまで。将来を嘱望されるアマチュアにとっても、合格率約3パーセントの壁はとても高い。千葉県・麗澤高3年時の2020年にはナショナルチームのメンバーに選出された六車にとっても、それは同じだった。同年の「ニトリレディス」では最終日最終組(3位タイから出て結果は19位タイ)で優勝争いを経験するなど、ツアーで活躍するアマチュアとして名の知れた存在だったが、それでもだ。

六車が高校3年時、コロナ禍で2020年度の最終プロテストは21年6月に延期。そして初挑戦は63位タイに終わった。21年度のプロテストは同年秋に行われ、2次で敗退している。自分を高めるために辻村氏の門をたたいたのは、21年9月のことだった。そして「3年は我慢」と伝えられた。

22年のオフキャンプでは、ハーフで30台が数回しか出せずに苦しい内容のゴルフが続いていた。辻村氏は「『終わって悔しがるなら現場で踏ん張りなさい』と鼓舞したこともある」と話していたことを思い出す。

地元の埼玉から辻村氏が拠点を置く船橋に居を移し、連日の打ち込みが始まった。朝練は6時から開始。来る日も来る日も球を打ち続け迎えた22年の最終プロテストだったが、1打差の21位タイで悔し涙を流した。「それでも翌日から練習にやってきました」。辻村氏はリスタートした日を思い返す。

23年に向けては体作りを見直し、1日3~4時間の全身トレーニングを課した。父・亮介さんもサポートに徹し、怠ることなく体をいじめぬく日々。「3カ月ほど続けた時には2回りほど大きな日那乃になっていて、軸がしっかりとした体になりました」。日々の鍛錬が目に見えて分かったほどだ。

結果的に23年のプロテストは3打差の35位タイに終わっていたが、今年は六車自身も期待を感じていた。「去年と比べてもショットは安定していたし、試合に出ても悪いところから巻き返すこともできたり、よくなっている。今年はちょっといけるかもみたいな。自分への期待と不安もいろいろあった感じです」。こうして大洗に乗り込んだ。

辻村に師事して3年、今年は最終日にスコアを伸ばすことが増えた。7月のステップ・アップ・ツアー「あおもりレディース」の最終日は「67」をマークして2位。9月の2次プロテストも最終日に「67」で回り、最終への進出を決めた。そして最終プロテストの1カ月前に行われた「スタンレーレディスホンダ」では、初日「73」の76位タイと出遅れながら、2日目に「65」をマークして予選通過を果たすと、最終日も「69」で回り14位タイでベストアマを獲得している。

六車自身も成長を感じていたが、辻村氏も同様のことを考えていた。「もともと尻下がりにスコアを落として3日目、4日目に下位に落ちることが多かった。しかし、プロとして戦うために尻上がりに良くならないと厳しい。そういう意味も込めて肉体改造を勧めるとみるみるうちに打球が強くなって、最終日にスコアを落とすどころから爆発するなど、尻上がりによくなる日那乃をたくさん見ることができました」。技術&メンタルともに見違えていたという。

最終プロテストは初日に「75」の51位タイと出遅れたが、2日目以降、成長の成果を発揮。2日目に「70」をマークして11位タイに順位を上げると、3日目は「73」としながらも合格圏内の18位タイをキープした。そして最終日も極度の重圧に耐えながらも「74」にまとめて19位タイで悲願成就。辻村氏が出会った頃に伝えた「終わって悔しがるな、現場で踏ん張りなさい」を実行した形になる。

5度目の挑戦でプロライセンスを手にした六車は、去年と比べて変わった部分について「人に頼らなくなったところ。自分のことなのに人に頼ったりしていた部分があったので」と振り返ったが、これも辻村氏の狙いの一つでもあった。

六車が指導を受け始めた頃は、練習方法やスイングの改善点など、辻村氏の言葉について「何を言っているんだろう」という感じで理解に時間がかかっていた。「一つ一つどういう意味があるかも説明していました」(辻村氏)。さらに口酸っぱく伝えていたのは「トレーニングしたら体は筋肉痛になる。たくさん考えたら頭が痛くなる。これは頭のトレーニングで頭が筋肉痛を起こしているから。だから考えるのをやめるな」。頭を使うようになった六車は最近では言葉のやり取りも早く、時にはアイコンタクトで感じ取れるともいう。「一番成長したのは脳なのかな」と辻村氏は目を細める。

最終プロテストでもその真価を発揮した。スタート前の練習では頭にタオルを乗せてボールを打つ六車の姿があった。「力が入ると体が傾いてしまいます。タオルを乗せると無駄な力みが減り、シンプルなボディターンができて軸を感じられます」とその意味を語る。ダウンスイングで左サイドに流れて頭が右に倒れてクラブが下から入ってくる悪癖がある。9月の「日本女子オープン」の時にもタオルを頭にのせるなど同様の練習をして好感触を得たことで、自らの意思でプロテストでも続けていた。

タオル練習法は辻村氏の「最初のレッスン」という基礎中の基礎。プロテスト期間中はコーチや家族らもゴルフ場に入ることはできない。自らの考えで最後の最後まで辻村コーチの教えを守っていたのだ。「自分で必要な引き出しを開けられるようになったから。日那乃が自分で悪癖を理解している証拠。成長を感じました」。こういうと辻村氏は涙を流した。

ジュニア時代の六車は、プロテストに一発合格して世界で活躍する選手になることを目標にしていた。少し時間はかかってしまったが、ようやくプロとしてスタートラインに立ったことになる。「辻村さんとリスタートして、上を目指していこうという話をしました。自分が理想としていた人生とはちょっと違ったんですけど、またそこに向けてスタートできるので夢を見たいと思います」。

目標とする選手は姉弟子の上田桃子を挙げる。得意なパッティング、精度の高いユーティリティを武器に「これまで通り体を強くして、精度を上げる正しい練習をやり続けていきたいです」。“六車プロ”となり、辻村コーチと夢に向かって再び歩み始める。(文・小高拓)

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