国内女子ツアーは避暑地・箱根決戦が行われる。日本列島を襲う猛烈な暑さと台風7号の影響で、難コンディションは必至。その展望は? 青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏がツアー会場から解説する。
■五感をフル活用して挑め!
「大箱根は、グリーンが非常にきれいな状態です。非常に速くて、12フィートぐらい出ているのではないか」。開口一番、大西氏はグリーンをポイントに挙げた。「夏場になると、雨がたくさん降ったりしてグリーンは硬くできない場合が多いのですが、ここはメンテナンスが行き届いています。“メジャー大会”に近いセッティングですね。グリーンの上の段につけてしまうと、下りのパットが花道まで落ちちゃって、ボギーになったりする。頭を使って攻めていかないといけないです」と説く。
さらに、名物・箱根の山からの強風や、ラフが長い影響でフェアウェイを外してしまうとグリーンに乗せることさせ困難なホールもあるという。「自分の五感をフルに生かして、頭の先からツマ先まで研ぎ澄ませて挑まないといけないコースです。やみくもにガンガンとピンを狙うと非常に危ない。そういうマネジメントをすると、土曜日に帰宅(予選落ち)になると思う」。
つまり、今大会はコースマネジメントに長けた“総合力”がある選手が上位に来る、そんな展望を思い描く。
■優勝候補はこの4人
翌週に今季海外女子メジャー最終戦「AIG女子オープン」(22日開幕、スコットランド、セント・アンドリュース・オールドC)があるため、メルセデス・ランキング上位5人が不在。そのなかで、前週の「NEC軽井沢72ゴルフ」で5年ぶりとなるツアー2勝目を挙げ、出場選手のなかで同ランキングトップの河本結を優勝候補筆頭に挙げる。
「河本選手は、平均パット数がツアーでナンバー1とパッティングが非常に安定していますね。プレーを見ていても、頭を使ってゴルフをしていると思います。五感が今、一番研ぎ澄まされているのは彼女ではないかと」と2週連続優勝へ太鼓判を押す。
対抗馬は、2014年の今大会覇者・上田桃子。今季はここまでトップ10は2回、メルセデス・ランキングでは50位と本調子とは言えない状態と思われるが、「今年のコースは特に“経験”がものをいう。マネジメントに関してはピカイチだし、ショットの状態はすごくいいと思うので、この辺りから調子を上げてくるのでは?」。ベテランの2年ぶりとなる優勝に期待を示した。
そのほかでは、直近5戦で2位タイが2回と好調を維持する堀琴音。「彼女もマネジメントの創意工夫を重ねて、非常に良くなっています。持ち球のパワーフェードも切れ味があるので期待ですね」。
さらに昨年の今大会で涙の初優勝を遂げた蛭田みな美も気になっている様子。「初めてのディフェンディング大会で気合も入っていると思うし、彼女もマネジメントがうまい選手ですね。連覇もあるのでは」。コースマネジメントに長けた4人を優勝候補に挙げた。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。