<ダイキンオーキッドレディス 事前情報◇4日◇琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)◇6610ヤード・パー72>
日本ツアー復帰初戦を前に稲見萌寧が心境を語った。米国女子ツアーを1年で撤退し、復権を懸けたプロ8年目のシーズン。オフはひたすら練習に明け暮れ、出場資格のあった米国女子ツアーの開幕戦「ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ」も出場を見送った。
その理由を「出る予定はしていたが、体調も悪く、ゴルフ的にもまだ万全の状態じゃなかったので」と話したように、度重なるスイング改造の影響で本来の切れ味鋭いショットは長らく影を潜めた状態が続いている。「一からやり直しなんで、仕上がりはまだ10%くらい。クラブもまだ決まっていないし、今はまったく自分には期待できないかな。その中でもうまく自信をつけていきたい。とりあえず治さないと先はないと思っている。修正しないといけない。頑張らないと…」
クラブセッティングもまだ固まっていない。言葉を文字にすれば悲壮感ばかりが漂う。だが、今季開幕を2日後に控えた元賞金女王に焦りはない。昨季の米ツアーでは18試合に出場して予選通過は6試合にとどまり、トップ10入りは1度だけ。年間ポイントランキングは104位に終わった。「スイングを変えたりして、厳しい状態でゴルフをやりたくないと思ったこともある」と厚い壁に跳ね返されたが、ただでは転ばなかった。
「細かいことは考えない。シビアに考えない。向こう(米国)にいればアクシデントは普通に起こる。狭く、深くだった今までと違い、浅く、広く考えるようになりましたね」
自他ともに認める完璧主義者ゆえに落とし穴にはまることも多かったが、「生活環境や練習ラウンドは楽しかった」という米ツアーで人間的にはひと回り成長できた。試合では辛いことの多かった昨季のことも笑顔で話し、自分自身を俯瞰(ふかん)して見ることができるようになった。
昨年10月以来となる日本ツアーだが、今大会は2年ぶりの出場。前回は優勝した申ジエ(韓国)に3打差の2位に入った。「なるべく早く優勝したい」を目標に掲げて臨むシーズンの初戦として相性は悪くない。コロナ禍で統合された2020-21年シーズンに賞金女王となった、あのころの輝きを取り戻す稲見の新しい挑戦が始まる。(文・臼杵孝志)