ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。2月も半ばとなり、いよいよ春を待つ気持ちが強くなってきました。三寒四温の言葉の通り、寒くなったり暖かくなったりしながら季節が移っていくのでしょう。
一方で心も体も油断しがちなのもこの時期です。早朝が思いがけず寒かったり、昼間は暖かかったのに夕方急に寒くなったり。服装だけでなく身体も含めた準備をしっかりしないと、思わぬケガにつながります。私たちプロゴルファーは、試合前にはもちろんしっかりと身体を整えて臨みます。トーナメント会場の駐車場でも、走ったりしてウォームアップしている選手を見かけることも少なくありません。
コースのお風呂場は脱衣所が広いので、そこにマットを敷いたストレッチも定番です。故障や不安な箇所がある選手はそこを重点的に、そうでない選手もケガ防止はもちろん、スタートホールからいいパフォーマンスができるように体を整えます。年齢を重ねた読者の方にはわかっていただけると思いますが(笑)、年を取ればとるほど、この準備はより念入りになります。若いころに比べるとケガのリスクが高くなっていることを経験的にわかっているからです。
私の場合、試合前のストレッチは、30分程度だったものが、今では50分近くになっています。年齢とともに体が硬くなっていることを実感しているので、スムーズにスタートして18ホール回るには、それくらいの準備が必要なのです。
アマチュアのみなさん、しっかりストレッチをしていらっしゃいますか? 個人的にはしっかり準備することをおすすめします。プレー頻度が少ない方は、ケガを防止し、気持ちよく楽しくプレーするために、スタート前の準備があったほうがよいと思います。
ボールを打つ動きだけでなく、歩いたり、ときに走ったりする動きで思わぬケガをすることがあります。足元に気を付けているつもりでも、滑ったり、トラブルでプレーが遅れてあわてたりしたときに、準備のできていない身体だと対応しきれないことがあるからです。この頃、私がいつもしている効果的な準備は、簡単ではありますが市販のストレッチポールを使ったものです。スタートまでの時間次第ですが、まずは背中を優先して伸ばすのがいいと思います。
ゴルフ場までの朝早い移動、特に車を運転して行った場合、座ったままの姿勢で体は固まっています。車を降りて、荷物を下ろした瞬間に、背中や腰を痛めるケースもよく聞きます。意識して負担のないように車を降りて、ストレッチしましょう。ポールを縦にした上に仰向けに寝転がり、少しずつ左右に体を小刻みに揺らしながら体をゆるめます。これが済んだら、今度はポールを横にして、背中から腰のあたりまでゴロゴロ転がすイメージで体の後ろ側を伸ばしましょう。
この時に腕を上下させることで肩回りもじわじわとほぐれます。肩甲骨周りが固まらないようにすることは、日常から意識しておいたほうがいいですが、ここでもしっかり動かしてみましょう。時間があれば、さらにワキの下にポールを入れてゴロゴロするのもおすすめです。ポールの硬さにもよりますが、私にはとても痛いけど効くんです。
自分に合ったストレッチ方法を見つけて、いつも行うことができれば、朝から準備万端。自分のプレーを最初からできる可能性も高まります。冬のあいだにケガなどすることなく、ゴルフを楽しみ、暖かい春の訪れを待ちたいものです。
■原田香里(はらだ・かおり)
1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部で腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。