<ダイキンオーキッドレディス 3日目◇8日◇琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)◇6610ヤード・パー72>
バーディを計算できていたパー5の7番が今年は選手を悩ませるホールになっている。従来は緩やかに打ち上げていく真っすぐな515ヤードのホールだったが、今年はやや右ドッグレッグのレイアウトに変更され、距離も5ヤード伸びた。新しいフェアウェイの右サイドには、これまでフェアウェイだったところにバンカーを新設し、ティショットの落ちどころとなった。そのバンカーの左前方には大きなガジュマルの木が配され、状況によってはスタイミーとなるロケーション。昨年までは広い左サイドのラフの中にあった大木に、2打目が当たってしまう選手も少なくない。
強風と雨だった初日はボギーが31人で、ダブルボギーは6人。平均ストロークは5.33と4番目に難しいホールとなった。そんな厄介なホールに変身したパー5の洗礼を、この日は初優勝を目指す佐久間朱莉が浴びてしまった。
フェアウェイからの2打目はガジュマルの枝に当たりながらも、うまく抜けてフェアウェイをキープした。「5番ウッドだったので、高さ的には大丈夫かなと思ったけど、ちょっと左足下がりで、当たりも薄かった。ヒヤっとしました」。3打目でグリーンオン。だが、ホッとしたのも束の間だった。ピン奥5メートルのチャンスからカップインまで、まさかの4打を要するダブルボギー。2023年「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」第2ラウンドの14番パー3以来となる5度目の4パットで、貯金は一瞬でなくなった。
「もったいなかった。5メートルのバーディパットは下りのチョイスラで1メートルもショート。パーパットはカップに蹴られて1.5メートルほどオーバーし、ボギーパットも蹴られました」
昨年8月、7番ホール右横の道路を隔てた場所に米国系の大型スーパー「コストコ沖縄南城倉庫店」がオープンした。コースと道路の間には高いネットがある箇所もあるが、車両の通行量が増え、スライサーが多い一般ゴルファーによる不慮の打球事故を防ぐため、昨年9月にリニューアルされた7番パー5。21年から昨年までの大会ごとの平均ストロークはすべて4.9台だったが、今年は第3ラウンドまでのトータルは5.1582で、計30個のバーディに対し、ボギー以上は62個も出ている。
「距離も少し伸びたし、難易度は上がりましたね。でも、ダボは打ちすぎでした」
前週の台湾での試合中に食あたりの見舞われ、40度の高熱を押して出場した開幕戦。ようやく体調も回復し、前夜はキッチン完備の宿泊先で鍋料理を食べ、「ずっと食べたかった」という大好きなうどんでしめた。食材を調達したのは、件(くだん)のスーパー。「今週、一番のごちそうでした」と胃袋はコストコで満たされた。
8番以降は3バーディ・2ボギーと1つ伸ばし、最終日はトータル1アンダー・10位から首位を追う。「オフにやってきた成果でパッティングの精度は確実に上がっているし、そこは自信を持っている。今週もまだチャンスはあると思っている。勝てる気はする。自信を持ってやりたい。最終日はヘボしないのが目標です」。首位とは4打差。7番のリベンジから初優勝を貪欲に狙う。(文・臼杵孝志)