今季も数多くの話題が生まれたゴルフ界。その中から、編集部が話題となったニュースをピックアップしてシーズンを振り返る。今回は女子の10大ニュース前編。
■全米女子オープン 日本勢ワンツーフィニッシュ
今季海外メジャー2戦目の「全米女子オープン」で笹生優花が優勝。そして渋野日向子が2位に入り、史上初の日本勢によるワンツーフィニッシュの快挙を成し遂げた。さらに、笹生は2021年以来の大会2勝目、そして日本人史上初の2度目のメジャー制覇の偉業でもあった。笹生がトータル4アンダー、渋野がトータル1アンダーと、4日間通算でアンダーパーはこの2人のみ。
渋野の1つ前でプレーしていた笹生。最後のパーパットを沈めると、セカンド地点から笹生の優勝を確信した渋野が両手を挙げて拍手を送ったシーンも印象的だった。日頃から仲がいい二人は、プレー後にハグをしてお互いの健闘を称え合った。
■古江彩佳 海外メジャー初制覇
メジャーで君が代が流れた。フランスで行われる「アムンディ・エビアン選手権」で古江彩佳が、樋口久子、渋野日向子、笹生優花に続く日本女子史上4人目のメジャー制覇を成し遂げた。首位と1打差の2位からの逆転優勝であったが、その道のりは厳しい戦いであった。前半で2つ伸ばしたものの、後半に入ってからは失速。12番でのボギーで一時は首位と3打差がついた。
しかし、14番パー3で10メートル以上のパットをねじ込むとここから“古江劇場”の幕開け。15番でも再びロングパットをたたき込み、16番パー3はピンまで約1.5メートルにピタリ。勝負所で怒とうの3連続バーディを記録した。首位と並んで迎えた最終18番パー5では、スーパーショットも披露。ファーストカットからの2打目がギリギリ池を越えて、2オンに成功した。約4メートルのイーグルパットをねじ込んで逆転V。涙を流しながら偉業達成の喜びをかみしめた。
■AIG女子オープン 過去最多日本勢19人が出場
“聖地”セント・アンドリュース(スコットランド)で行われた今季最後の海外女子メジャー。日本勢は過去最多となる19人が出場した。米国女子ツアー組はもちろん、国内女子ツアー組から、世界ランキング上位者や「宮里藍 サントリーレディスオープン」終了時点のメルセデス・ランク上位3名、同大会上位2名などの資格で12名が出場した。決勝ラウンドへ進出したのは9名。日本勢最上位フィニッシュを果たしたのは7位タイの岩井明愛、西郷真央。日本勢2番手には初の海外メジャー参戦となる大里桃子がつけ、国内ツアー組の強さも光る一戦となった。
■古江彩佳&西郷真央の偉業
今年は古江彩佳の強さが光った一年。「アムンディ・エビアン選手権」でのメジャーVはもちろん、年間平均ストロークは「69.988」と抜群の安定感を見せた。この結果、日本勢初の快挙となる平均ストロークNo.1の称号『ベアトロフィー』をつかみ取った。
さらに、西郷真央も34年ぶりの快挙を成し遂げた。昨年の最終予選会(Qシリーズ)で2位に入り、今年から米ツアーに参戦。初優勝こそなかったものの、29試合中トップ10入り7回、2位を2度記録するなど奮闘し、1990年に新人王に輝いた小林浩美以来、日本勢2人目の『ルーキー・オブ・ザ・イヤー』を受賞した。
■米国女子ツアー 来季は日本勢13名の“大所帯”
米国女子ツアー来季出場権をかけた最終予選会(Qシリーズ)。日本勢から山下美夢有、岩井千怜、岩井明愛、吉田優利、馬場咲希の5人が通過を果たした。山下と千怜はワンツーフィニッシュ。日本勢のレベルの高さが際立った予選会でもあった。
この5人に加え、今年海外メジャーを制した笹生優花と古江彩佳をはじめ、渋野日向子、畑岡奈紗、西郷真央、勝みなみ、西村優菜が米ツアーのシードを保持。竹田麗央は日米共催大会「TOTOジャパンクラシック」での優勝により米ツアーに本格参戦と、来季は13人と“大所帯”となる。また、原英莉花、山口すず夏らが米女子下部エプソン・ツアーに参戦を予定しており、続々と日本人選手が世界へと羽ばたいている。
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後編では国内ツアーで“無双”した21歳や、「パリ五輪」での奮闘など5本をお届けする。