<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 事前情報◇3日◇茨城ゴルフ倶楽部 西コース(茨城県)◇6780ヤード・パー72>
今季メジャー初戦がついに開幕。昨年は、山下美夢有が初日にコースレコードの「64」を叩き出して一気に飛び出すと、そのまま完全優勝でメジャー初制覇を達成した。2019年は渋野日向子、20年の中止を挟んで、21年は西村優菜、昨年は山下と、3大会連続で20歳の選手が勝っている大会で、今年は誰が輝くのか。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が現場から見どころを紹介する。
メジャーらしい今年一番の難セッティングは…「奥歯を噛みしめながら我慢」できる選手が来る!【大西翔太のSHOWTIME】
国内女子ツアー今季10戦目。今年最初のメジャー大会を制するのは誰なのか。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が、その展開を占う。
配信日時:2023年5月3日 22時30分
<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 事前情報◇3日◇茨城ゴルフ倶楽部 西コース(茨城県)◇6780ヤード・パー72>
今季メジャー初戦がついに開幕。昨年は、山下美夢有が初日にコースレコードの「64」を叩き出して一気に飛び出すと、そのまま完全優勝でメジャー初制覇を達成した。2019年は渋野日向子、20年の中止を挟んで、21年は西村優菜、昨年は山下と、3大会連続で20歳の選手が勝っている大会で、今年は誰が輝くのか。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が現場から見どころを紹介する。
舞台となる茨城ゴルフ倶楽部は、今年もメジャーにふさわしい仕上がりを見せている。2013年に同じ西コースでの大会を制した茂木宏美がコースセッティングを担当。「世界で勝つ選手を育てる意味で、下見のときからラフを難しくしようと芝の密集度を上げました。長さの想定は昨年と同じ70ミリでしたが、例年よりも10日間くらい季節の進みが早く、平均で90ミリ、長いところは100ミリを超えています」と茂木はいう。グリーンが硬くて速いため、ひとたび深いラフに入れば、ピンに寄せることはおろか、グリーンに乗せることすら難しくなる。
大西氏も「ラフに行ったら勝負できない」と考えている。「ラフにはブラシみたいな穂がついていて、これがくせ者。距離が出たり出なかったりでまず縦距離が合いません。たとえピンを筋って距離が合ったとしても、グリーンは今年一硬いので止まらない。奥からは寄らないので、絶対にフェアウェイ。ドライバーを持たずに刻んでもフェアウェイに運んだ選手のほうが間違いなく優勝争いに絡みます」。
他のトーナメントでは、刻んで長いクラブで打つより、ドライバーでラフに入っても短いクラブで打ったほうが易しいコースは存在する。しかし今回は違う。飛ばし屋もドライバーを握らずに縦距離をシビアにコントロールしなければスコアを作れない。飛距離よりも正確性を武器にツアー4勝を挙げている青木ですら、「16番パー4とか刻むホールが何個かある」という。
ティショットから気の抜けない18ホールが続くメジャーらしいセッティング。そのなかで大西氏は『ハートの強さ』をキーポイントに挙げる。「精神との戦いです。毎年、上のほうは伸びていますけど、下のほうは果てしなく打つ」。昨年の優勝スコアは山下のトータル12アンダーだが、アンダーパーで試合を終えた選手はたったの13人。予選通過者で下位に目を向けると、トータル10オーバー以上もまた13人いた。「気持ちが切れたらズルズルいってしまう」コースなのだ。
そんな難コースで大事なのは『欲を出さない』こと。「常にフェアウェイはセンター。グリーンもセンター。それが攻略の鍵です。短い距離はピンを狙いたくなるけど、それでもセンター。そこからパッティング勝負です。『ウェッジ持っているのに、ピンを狙っちゃいけないの?』となるんですけど、ずっと奥歯を噛みしめながら我慢! それをやり続けた者が勝ちます」。
ピンを狙わずにグリーンセンターを優先すれば、当然長いパットを沈めてバーディを獲っていかなければならない。そこで待ち受けるのは「今年一番きれいなグリーン」。目や癖がなく、スティンプメーターで13フィートと、男子ツアーを入れても年間で5本の指に入るくらいの超高速グリーンに仕上がっている。
「このグリーンは重い転がりをしたほうがいい。そうすると切れないので、ちょっとスライスや、ちょっとフックが真っすぐで入るんですよ。それが少しでも打点をミスしたり、球の回転軸が悪くなった途端に入らない。純粋すぎるグリーンが故に、雑味のある回転はお呼びじゃない」
では、風が吹けば過去最高に難しいコースに変貌するかもしれない舞台で、ショットの正確性、パッティングの上手さ、ハートの強さを兼ね備えた選手は誰なのか。大西氏がまず挙げたのは3人。優勝候補筆頭は昨年覇者の山下だ。「すごくコンディションも良さそうですし、間違いなく優勝争いしてくると思う」。昨シーズンは今大会と「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」のメジャータイトルを2つ獲り、大舞台に強いイメージがある。
続いて、昨年から未勝利が続いている吉田優利。「見ていて調子が上がってきているし、燃えています」。そして3人目。「メジャーといえば原英莉花さん。練習場で見ているかぎり、球のさばき方もきれいですし、調子は上がってきている。今年に入ってさらに頭を使ったゴルフをされているので、1つ1つのジャッジを研ぎ澄ませてくるんじゃないかと思います」。ツアー4勝のうち、半分の2勝がメジャーという経験に加え、マネジメント面での成長も見込んでいる。
その3人に対抗するベテランに、メジャー初優勝を目指す上田桃子を推す。「54試合目のメジャーで、やっぱり燃えている。情熱というのは間違いなく結果とマッチしてくる。プロアマでは宮里藍さんと回っていて、それもいいパワーになるんじゃないかなと思います」。
そして、フェアウェイを外さず、パターが上手いという要素を兼ね備えるのが、大西氏がバッグを担ぐ青木瀬令奈だ。今季のフェアウェイキープ率は81.5%で1位、パーオンホールでの平均パット数では1.76で3位につける。加えて、昨年大会では山下に次いで2位とコースとの相性も良い。
「1年前に悔しい思いをして、どうしたら優勝できるのかを1年間しっかり考えて取り組んできた。その成果を今週出そうと本人はリベンジに燃えています」。青木は3月の「Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」で優勝したあと体調を崩し、なかなか調子が戻らずにいた。しかし、「気持ちが入ってくるとしっかり体もついてくるので、中盤戦に向けて、この試合でいいきっかけを作れると思います」と一番近くにいる大西氏は見ている。
さらに、「パッティングの調子が上がってきている」という鈴木愛にも注目する。17年、19年と過去2度の賞金女王に輝き、ベテランの域に入りつつあるが、パットの上手さはまったく錆び付いていない。「3大会連続で20歳が優勝していますけど、メジャーのセッティングでは技の引き出しの多さも間違いなく大切になってくる。ベテランの技が勝つのか、それとも若い選手の怖いものを知らない強さや勢いが勝つのか」。歴代優勝者の顔ぶれを見ても、このメジャーを制した者が、この先のシーズンも中心になっていくのは間違いない。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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