<Vポイント×ENEOSゴルフトーナメント 初日◇15日◇鹿児島高牧カントリークラブ(鹿児島県)◇6456ヤード・パー72>
バーディを5つ獲っても、チップイン・イーグルを奪っても最後にスコアを落としてしまえば、心は穏やかではいられなかった。ましてや、それがダブルボギーだと腹立たしさは増幅する。グリーン手前から左サイドに池が広がる18番パー4。好事魔多しの池ポチャに鈴木愛は、ご機嫌斜めだった。
「ホント、ショットがしっくりこない」
自身3度目の2週連続優勝を狙う初日の最終ホール。2打目を池に落とした。そこまでパーオン率58.8%と荒れ気味のショットを好調のパットとアプローチでカバーし、6アンダーと着々とスコアを伸ばしてきた。8番パー5は2オンを狙ったショットがグリーンをオーバーしたが、残り25ヤードの3打目を鮮やかにカップイン。1番パー5でボギー先行も、2度目の賞金女王に輝いた2019年にツアー史上2人目の3週連続優勝を達成して以来の快挙に向けて、足取りは軽やかだった。
「ちょっと疲れていたので、今週のラウンドはプロアマ戦の一日だけ。休養を優先したけど、その辺も…」
前週の「明治安田レディスヨコハマタイヤ ゴルフトーナメント」は初日からの首位を守る完全Vでツアー通算19勝目を挙げた。今週は3日間大会。“V疲れ”を癒すために前日14日の練習日はコースにも姿を見せず、完全休養に充てていた。
最後の暗転が、完璧主義者の元女王は許せない。だが、首位と3打差の6位タイは十分すぎる好発進。11日付の世界ランキングは12ランクアップの71位に浮上し、4月1日付の同ランキング75位以内に出場資格が与えられる「全米女子オープン」も見えてきた。「絶対に出たい」と初出場した15年と同じランカスターCC(ペンシルベニア州)で開催される今年の世界最高峰メジャー。全米切符を確実なものとするためにも下を向いている時間はない。(文・臼杵孝志)