<ゴルフ5レディス 初日◇1日◇ゴルフ5カントリー美唄コース(北海道)◇6472ヤード・パー72>
横殴りの雨に疲れをみせた選手たちだったが、ひとり涼しげな表情を浮かべている人物がいた。「風は好きなので。むしろ風が吹いた日のほうがスコアがいい(笑)」。木下彩は4バーディ・2ボギーの「70」で回り、首位と4打差の4位タイで発進した。
左からの風だったらフェードで、右からの風だったらドローで…。セオリー通りではない攻め方で、「風だといろいろやっちゃうし、考えるのが好き」というのが木下流。フェアウェイキープは半分の7回とドライバーの調子はあまりよくなかったが、「セカンドからはうまくできたのでそのおかげかな。ぶん曲げながら(笑)」と瞬間最大風速12.9m/sの強風をものともせずにパーオンは12回。スコアを伸ばしていった。
強風といえば、13位で終えた海外メジャー「全米女子オープン」が思い出される。名門のペブルビーチGLが舞台で、海から吹き付ける重い風に世界トップランカーたちも手を焼いたが、木下は右肩上がりに順位を上げ、初メジャーながら日本勢3番手の成績を残した。「きょうより風がもっと吹いていたかな…。あんまり覚えていない(笑)。あっちは強すぎて“ぶわー”って素直だった」。そんな出来事も思い出しながら、北の大地でも残り36ホールの攻略を図る。
先週は「ニトリレディス」で4日間を戦うと、すぐ兵庫県に飛び、「日本女子オープン」最終予選会に出場。上位で本戦出場権を獲得し、再び北海道に戻ってきた。水曜日にコースに来たが、「先週は暑くて、予選会で疲れて…」と練習ラウンドは行わず。プロアマのメンバーにも入ってなかったことから、実際にコースを確認しないまま、初日をスタートさせた。
「あまり練ランをしないタイプ」と自身を形容するが、初めて回るコースでも心配になったり気にならないという。雨風によってより難易度が増したコースには「しんどかったけど(笑)」と話すが、キャディを頼りながらマークした2アンダーには「まあいいでしょう」と上々の出来に笑顔をみせる。
週末も風が吹くことが予報されているが、「わたし、風とお友達。風止んだら打つ(落とす)だろうから、あしたもこれくらいで」とニヤリ。“お友達”を頼りに、黄金世代の“あやたん”はツアー初勝利を手繰り寄せていく。(文・笠井あかり)