<アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI 初日◇24日◇UMKカントリークラブ(宮崎県)◇6565ヤード・パー72>
「プロになって一緒に回るのが花奈の目標だし、私にとっても夢。(プロになるまで)辞められないから早くなってねって、ずっと言ってるの」。金田久美子のそんな言葉からも、今週キャディを務める高原花奈との“絆の深さ”が伝わってくる。
2人が出会ってから、すでに10年以上が経過している。もともとの始まりはプロゴルファーとファンという関係だった。「テレビで見て、かわいいし、かっこいいと思いました」。当時、愛知県に住んでいた小学3年生の高原は同郷の金田の虜になった瞬間をこう振り返る。それをきっかけにゴルフも始めたほどで、そこからツアーでプレーする姿も追いかけた。小学校6年生になるとゴルフ環境が整った宮崎県に家族と移り、宮崎日大高を卒業。現在はプロゴルファーを目指し、今年4度目となるプロテストを受験する。
手を腰のあたりまでおろし、「こんな(小さい)時から応援に来てくれたのに、もう20歳だよ」と金田は笑う。ちびっ子ファンはすっかり大人になり、そしてこの大会で初めて相棒に指名した。「気を使いすぎちゃうかなと思ったけど、逆。気にかける余裕もあるし、要領もいい。ライン読みでも、3回くらい危ないところを聞いたけど、そこも入った」。キャディとしての動きも十分すぎるほどだ。
今回のタッグ結成には、「そうなったらいいんだけどね」と当然ながらレギュラーツアーの雰囲気をコース内で味わってもらうことも狙いにある。高原も「マネジメント。メリハリをつけないといけない」という部分に、自身のゴルフとの大きな違いを感じとることができた。“プロとしてのプレーをしっかり見せないと”。そんな緊張感も加わったラウンドで、金田は初日2アンダー・19位タイと上々の滑り出しを切った。
金田は高原のことを話す時、何度も「かわいい」という言葉を繰り返す。高原が着るウェアも金田からおさがりでもらったものが多い。身長166センチの金田が着ていたものは、150センチの高原には少し大きいが、わざわざサイズ直しをしてまで大事に使用している。「大丈夫だよとか励まされるの。ああ見えて、けっこう言うから、かわいい。ラインも分からない時は『スライスかな? こっちから見たらフックかも? 分からないからまっすぐだ!』とか超適当(笑)。それもかわいい。癒されてます」。まるで姉妹のような関係にも感じる。
日本女子プロゴルフ協会の規定変更により、アマチュア資格を放棄している高原が金田と同じフィールドで戦うにはプロテストに合格しないといけない。2008年のプロテストに失敗しながら、その後QTから正会員の道を切り開いた金田は「一番(厳しさを)知ってる。あの時代でも難しかったんだから」と、それがいばらの道であることも十分に理解している。だからこそ力になりたいという気持ちも感じられる。
「スイングの調子もよくなってる。ドライバーも調子が悪い時は1ホールでOBを2回とかやってたけど、今はドライバーも嫌じゃないって言ってる。ショットに自信を持ってくれれば」。先輩プロとして、現在の高原の状態もしっかり把握している。同じ選手という立場で次は一緒にコースに立ちたい。それが昨年11年ぶりの優勝を挙げた33歳の、大きなモチベーションになっている。(文・間宮輝憲)