白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。その今季全37試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(9月20~22日、宮城・利府ゴルフ倶楽部、優勝:安田祐香)
“プラチナ世代”の一員として期待を背負い続けた安田祐香が、ついに悲願のツアー初優勝を達成。悪天候により27ホールに短縮された宮城での戦いを制し、長い挑戦に終止符を打った。
「緊張感は少しありましたが、落ち着いてプレーできたと思います」。長らく手が届かなかった初優勝に、「うれしいです。終わってみれば一瞬で、パニックです」と素直な心境を語った。
2017年「日本女子アマ」、2019年「アジアパシフィック女子アマ」など輝かしいアマチュア時代を経てプロ入りした安田。しかし、持病の腰痛に悩まされ、勝利から遠ざかる日々が続いた。『優勝できない』『体力がない』などの声に悔しさを感じながらも、「1年ごとに成長していると思うし、5年が長かったとは思わない」と胸を張る。
優勝報告を一番に届けたかったのは、小学3年生から指導を受けてきた「坂田ジュニアゴルフ塾」主宰の坂田信弘氏。今年7月、76歳で亡くなった恩師に「テレビで優勝する姿を見て欲しかった。でも、天国で見守ってくれていると思います」と涙ながらに語った。
契約先である住友ゴム工業が特別協賛する大会でのホステス優勝。安田は「常に上位でいられる選手になりたい。これからも安定した戦いを続けていきたい」と次なる目標を掲げた。「2勝目、3勝目と積み上げていく」。長い挑戦の先につかんだ初優勝は、未来への力強い一歩となった。