2025年の国内女子ツアールーキーのスイングをツアープロコーチの石井忍が解説。今回は他のルーキーとは違い、ティーチングプロ資格も保持する古家翔香(ふるや・しょうか、25歳)のスイングを深掘りしていく。
7度目の挑戦で悲願の合格を果たした古家だが、他のルーキーとは異色な経歴を持つ。プロテストには2018年に初挑戦。2度目の受験に失敗後、3年間かけてJLPGAのティーチングプロ資格を取得し、23年1月1日付でJLPGAに入会した。
同年、上位15位にQT1次の出場権が与えられる「JLPGAティーチングプロ競技会」で1位になると、24年はQTランク180位で下部のステップ・アップ・ツアーに13試合出場して賞金ランキング30位。同年の「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」では9位タイに入り存在感を示した。
実質、プロゴルファーとしては3年目を迎え、同期の選手に比べて先輩になるが、今季はルーキーとして本格的にツアーで戦っていく。今季はQTランク79位で下部ツアーが主戦場。初戦は推薦で出場したレギュラーツアーの「Vポイント×SMBCレディス」(予選落ち)。今週は3日から行われている下部ツアーの「YANMAR HANASAKA Ladies」(滋賀県)に出場している。
そんな古家のスイングについて石井は「再現性の高いドローヒッター」と話す。まず、「手元と体を同調させて」始動し、フェース面はボールを向いたまま上がっていく。トップの位置ではフェース面は真上を向く。これはドローヒッターに多い“シャット”な上げ方だ。
さらに「ややワイドスタンス」のアドレスから「ヨコの力はあまり使わず、アドレス時の軸をそのまま維持して回転で打っている」。右ヒザの位置が変わらずに上半身を回し、「背中の軸は切り返し以降もその場から動かない」と1軸のまま回っている。
スタンスが広い状態で1軸になると体が右残りになりやすいことも考えられるが、切り返し時の左足への踏ん張りと、右ヒザが曲がりすぎずに下半身の重心移動ができていることから1軸が保たれている。
そして、切り返しからダウンスイングで両ヒザの位置が正面に向いたとき、左腕が地面と平行になっていることから飛距離にもつながる「捻転差が生まれる」。そこから右腕が遊ばず体にくっついた状態でインパクトに向かう。それにより「インサイドから叩けて、フェースローテションが少ない」安定したドローボールになっている。
■石井忍(いしい・しのぶ)1974年生まれ、千葉県出身。東京学館浦安高等学校、日本大学のゴルフ部で腕を磨き、98年プロテスト合格。2010年にツアープロコーチとして活動を始め、多くの男女ツアープロを指導。また「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアへの指導にも力を入れている。現在は将来プロになることを目指している25歳以下の女子選手が出場するマイナビ ネクストヒロインゴルフツアーの解説も行っている。