■奇跡みたいな優勝で賞金シード確保

そんな得意コースで鈴木は初日に「68」をマークして好スタートを切ると、2日目にはトータル7アンダーで単独首位に立つ。最終日はグレゴリー・マイヤーとのプレーオフに持ち込まれたが、2ホール目でバーディを奪い、決着をつけた。

「体のコンディションを考えれば、奇跡みたいな1勝です」と振り返る鈴木だが、シード選手としての意地とプライドが引き寄せた勝利だったのかもしれない。この優勝で賞金ランキングも14位にまで上がり、6年連続賞金シードを獲得。苦難の1年を乗り越えて再びツアーで戦える自信を取り戻した。

5月28日に56歳の誕生日を迎える鈴木。今季は2戦目の「ノジマチャンピオンカップ箱根」で5位タイに入るなど、開幕からまずまずの成績だ。シード落ちの危機を乗り越え、悲願の“キング”と公式戦のタイトル奪取に向けて勝負の年が始まった。

取材協力・季美の森ゴルフ倶楽部（千葉県）


■鈴木亨
すずき・とおる/1966年5月28日生まれ、岐阜県出身。身長178センチ、体重80キロ。日本大学ゴルフ部時代は「日本アマ」などのタイトルを獲得。同期には川岸良兼がいる。89年にプロ転向後は、93年にツアー初優勝をはじめ、通算8勝。2011年までシード選手として長年活躍。シニア入り後は、3年目の18年に3勝を挙げて賞金ランキング2位。今季は賞金王を目指す。シニア通算5勝。ミズノ所属。