＜日本プロゴルフグランド・ゴールドシニア選手権大会　初日◇29日◇南紀白浜ゴルフ倶楽部（和歌山県）◇グランド：6724ヤード・パー72/ゴールド：6277ヤード・パー72＞
 
今週は和歌山県の南紀白浜ゴルフ倶楽部を舞台に「日本プロゴルフグランド・ゴールドシニア選手権大会」が開催されている。60歳以上のグランドの部で首位と3打差の2アンダー・4位タイで発進した横山明仁は、幸せオーラ全開だった。

「今回は初めて、うちの奥さんを連れてきたんですよ」。二度目の結婚の横山は今年2月14日、女子プロの小貫衣織（おぬき・いおり）と再婚（小貫は初婚）。そのとき、横山は62歳、小貫は39歳という23歳の年の差婚で、いままさに幸せの絶頂にある。今大会では初めて妻が夫のキャディを務めているのだ。

シニアの横山と、女子プロの小貫はどう出会ったのか。2人はともに国際スポーツ振興協会に所属。半田晴久会長と3人でゴルフをしたり、家が近かったため、「たまに」一緒に練習する仲だった。「すごいプレーヤーというのは知っていて、尊敬する先輩みたいな感じでした」と小貫が言うように、知り合って5年は何もなかった。しかし、2021年1月12日、横山の還暦の誕生日に2人の仲が前進する。「誰も祝ってくれなくて、何となく電話したら一緒にご飯に行ってくれたんです」。その後、横山から「結婚を前提に付き合ってくれないか」と切り出した。

すると小貫は「私の9月の誕生日までお試し期間でいいよ」と返答。9月10日の小貫の誕生日には、横山が「更新」を申し出て、付き合って丸2年を迎えた今年、結婚した。小貫は父親を亡くしているが、母親は横山のちょうどひと回り上の74歳。横山と母親の年齢のほうが近い。

やはり“23歳差”が気になるところだが、「逆にちょっと大人っぽいというか、いろいろ教えてくれるので。年齢よりは落ち着いた感じがある。気にならないですね」と夫が言うと、「私も全然気にならない感じです」と23歳下の妻も同意する。そして、「何となく一緒にいて全然変わらなくて、いつも楽しい感じ」（小貫）、「普通にいて違和感がない」（横山）と2人はいう。試合会場では「いいなー」と茶化されまくっているが、それも横山はなんだかうれしそうだ。

この大会の前、5月の「マイナビシニア&レディースカップ」女子の部で小貫は優勝。その特典として3週後に行われる国内女子ツアー「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」の出場権を手に入れた。ここ数年は下部のステップ・アップ・ツアーを主戦場にしてきた小貫にとって、14年の「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」以来、およそ9年ぶりのレギュラーツアー出場となる。

マイナビで優勝したとき、小貫は横山との結婚を明かしているのだが、記者にいわれるがままに「旦那さんがキャディをやってくれるんですかね？という流れになっちゃって」と、ニュースが出た。「先に新聞に書いてあって、僕の許可は取ってないんですよ（笑）。予定を見たら空いているし、新聞にあるから行くしかないな」と、マスターズGCレディースでは、今度は横山が小貫のバッグを初めて担ぐ。

今大会では「模範となるゴルフを示さないといけない」と意気込む夫。さらに3週後に控える女子ツアーでは、「とにかく若手のなかで絶対予選を通らせたい」と鼻息は荒い。それに対して妻は「本当に私はレギュラーツアー久しぶりだし、キャディをやってもらえるだけで心強い。もうベストを尽くすだけです」と話す。小貫はこれまでにレギュラーツアーに4回出場しているが、いずれも予選落ち。「新婚パワー」で初の予選通過を目指す。（文・下村耕平）