＜日本プロゴルフシニア選手権　2日目◇6日◇サミットゴルフクラブ（茨城県）◇7023ヤード・パー72＞

レギュラーツアー1勝でシニアルーキーの増田伸洋が、5バーディ・ボギーなしの「67」をマークし、首位と3打差のトータル5アンダー・5位タイに浮上。プロゴルファーを目指す長男・康輔さん（20歳）をキャディに起用し、親子タッグでシニア初優勝を狙う。

前日は「パターがあまり入らなくて」と3バーディ・3ボギーの「72」で30位タイと出遅れた。この日のパターは「スコッティキャメロン ファントムX5.5」を初めて実戦投入。「昨日はいい感じで打ったのが届かなくて。今日は外れ方もそんなに悪くなくて途中から入りだしました」とパターを替えてボールの転がりが思うようになった。

そんな増田の最近の悩みは視力の低下だ。老眼と乱視が襲い「ラインがあんまり見えなくて…」。ゴルフ用の度が入ったサングラスを作ってみたが「グリーンは鮮明に見えるけど、カップが半分ぐらい小さく見えちゃって（笑）。まだちょっと見えるうちは」と裸眼を保っている。

キャディの康輔さんは、「パッティングが得意」でラインもよく見える。「今日は息子の言ったところに打ってました。あるホールでは『ボール1個フックかな』って聞いたら、『カップ1個は切れるよ』と言ってくれて、その通り打ったら入りました」。グリーン上ではこれ以上ない相棒で、まさに二人三脚の活躍である。

シニアの世界に足を踏み入れたのと同時に流通経済大ゴルフ部の監督にも就任し、二足のわらじを履いている。同大学の付属校の流通経済大学柏高校でラグビー部に所属していた縁で、現在同大学の職員である当時の恩師から声がかかった。

研修生からプロになった増田は大学ゴルフを経験していない。そこで松山英樹や谷原秀人ら多くのプロを輩出する強豪・東北福祉大やシニアプロの湯原信光が監督を務める東京国際大などに足を運んだ。「人が集まるところは環境がいい」と、芝から打てる練習場や室内練習場があり、ラウンドできる提携ゴルフ場があることも知った。

同大学は千葉県松戸市と茨城県龍ヶ崎市にキャンパスがある。増田の実家は柏市で「双伸ゴルフセンター」を営んでおり、個室を作ってゴルフ部に開放し、ときには増田の手ほどきもある。また、名門の龍ヶ崎カントリー倶楽部でキャディバイト後にラウンドできる環境も整備された。

当初、部員は1人だけだったが、今は4人になった。そのうちの一人は、レギュラーツアー通算8勝の細川和彦の次男で、大学に入ってからゴルフを始めた和秋さん（2年）。「部員はプロを目指しているわけじゃないので、自由に好きにやらせています。社会人になったときに役に立てばいいと思っています」と新米監督は見守っている。

大学ゴルフ部といえば団体戦も醍醐味の一つ。まだ部員が少なく団体戦には参加していないが、「出られるなら来年には団体戦にも参加したいですね」と話す。関東大学ゴルフ連盟は、春と秋に団体戦のリーグ戦を行っており、現在AからFまでの6ブロックに分かれている。東北福祉大や日大が所属するのはAブロック。来年参加できればFブロックからのスタートである。「いつかはAブロックでね。何年かかるかわからないけど（笑）」と現役プロゴルファーの手腕を期待したい。

“監督業”はまだ始まったばかりだが、シニア1年目のツアーでは順調な滑り出しを見せている。「ノジマチャンピオンカップ箱根」で2位タイ、「日本シニアオープン」4位タイに入るなど、ここまで賞金ランキング10位で来季のシード権はほぼ確定している。まずはシニアで1勝といきたいところ。「気負わず楽しんでいきたい」。残り2日間も親子二人三脚でコースを攻略する。