63歳のレジェンド、フレッド・カプルス(米国)の怒りが止まらない。
PGAツアー・チャンピオンズ(シニアツアー)の「ホーグクラシック」(米カリフォルニア州・ニューポートビーチ)に参戦しているカプルスは、地元紙のオレンジカウンティ・レジスターのインタビューに応じ、そのなかでPGAツアーの新鋭、ウィル・ザラトリス(米国)がLIVゴルフからの“巨額オファー”を断ったことを明かした。
名門ウエイクフォレスト大出身のザラトリスは現在26歳。松山英樹が勝利した2021年の「マスターズ」で2位に入り、22年の「フェデックス・セントジュード選手権」でPGAツアー初制覇を遂げた。昨年は「全米プロ」、「全米オープン」でも2位と活躍を続けた。
そのザラトリスが、サウジアラビアの政府系ファウンドがバックアップする超高額賞金ツアー・LIVゴルフへの移籍話が舞い込んだという。当初は3500万ドル(約46億円)の提示を受けたがこれを却下。その後LIVゴルフは1億3000万ドル(約170億円)まで引き上げたというが、それでもザラトリスがこの招致を受けなかったというのだ。この話を明かしたカプルスは「お金はゼロの目的でしかない。ウィルを賞賛した」とも。ちなみに二人は同じエージェントに所属している。ザラトリスはこれまでLIVゴルフへ反対の立場をとり、「たとえ全米オープンの優勝賞金が10万ドル(1350万円)でも僕は出場する。メジャーで勝つことが目標だ」と高額賞金にはなびかないと主張してきた。
カプルスは1992年にマスターズを制しており、今年も歴代勝者としてオーガスタの芝を踏み、チャンピオンズディナーにも出席する。LIVゴルフを強く批判する一人としても知られ、フィル・ミケルソン(米国)の言動について「常軌を逸している」、セルヒオ・ガルシア(スペイン)についても「まるでピエロ」だと称してきた。
カプルスは「もし誰かが53歳のフィル・ミケルソンが『74』、『75』のスコアで回るために2億ドル(約270億円)を支払ったのなら、滑稽だ」とも話した。なおカプルスはホーグクラシックの初日を「66」で回り、5アンダーの6位につけている。(文・武川玲子=米国在住)