メジャー初挑戦にして最終日を首位で迎えたというシチュエーションは、イコール、緊張で身も心も硬直し、大崩れする危険性や可能性と背中合わせだったと言っていい。序盤で4パットのダブルボギーを喫したシチュエーションは、負の連鎖の始まりになりがちな躓きだった。首位の座から陥落し、2位、3位と後退していったシチュエーションは、焦りや苛立ちで、それまでの笑顔が強張った表情に一変しても不思議ではない窮状だった。
だが、渋野はそうしたシチュエーションを上手く逆手に取り、自身のパワーに転換していったところが見事だった。4パットのダブルボギーは「怒るというより笑えてきちゃった」。首位から陥落しても「追われるより追う方が楽」。
そして後半は「あまり緊張していなかった。コーチとペラペラしゃべりながらできた。バーディパットも『入らなくていいや』と思って打ったら入ったりした」。
言うまでもなく、渋野にまったく緊張が無かったはずはなく、勝利への意欲だって無かったはずはない。アスリートである以上、プロゴルファーとして試合に挑んでいる以上、無欲であるはずはないのだが、しかし彼女は無心で戦っていた。だからこそ、自分というものを見失うことなく、力を発揮できたのだろう。
メジャー大会で勝ちかけて勝てなかったこれまでの日本人選手たちの多くは、幼いころからメジャー優勝を究極の目標、人生の目標に掲げながら必死で腕を磨き、その目標に近づくために米ツアーに挑み、そしてついにメジャーの舞台で夢の実現のチャンスを掴み、そしてそのチャンスを掴みそこなった。
それはきっと、そこに至るまでの長い歳月やプロセス、そこに込めた自身の想いがあまりにも重く強くのしかかってきたからこそ、何かが狂い、何かが起こり、勝利を逃したのだと私は思う。それほど、勝ちかけて勝てなかった彼らは、そのとき「いつもとは異なる彼ら」になってしまっていた。
だが、渋野はそうしたシチュエーションを上手く逆手に取り、自身のパワーに転換していったところが見事だった。4パットのダブルボギーは「怒るというより笑えてきちゃった」。首位から陥落しても「追われるより追う方が楽」。
そして後半は「あまり緊張していなかった。コーチとペラペラしゃべりながらできた。バーディパットも『入らなくていいや』と思って打ったら入ったりした」。
言うまでもなく、渋野にまったく緊張が無かったはずはなく、勝利への意欲だって無かったはずはない。アスリートである以上、プロゴルファーとして試合に挑んでいる以上、無欲であるはずはないのだが、しかし彼女は無心で戦っていた。だからこそ、自分というものを見失うことなく、力を発揮できたのだろう。
メジャー大会で勝ちかけて勝てなかったこれまでの日本人選手たちの多くは、幼いころからメジャー優勝を究極の目標、人生の目標に掲げながら必死で腕を磨き、その目標に近づくために米ツアーに挑み、そしてついにメジャーの舞台で夢の実現のチャンスを掴み、そしてそのチャンスを掴みそこなった。
それはきっと、そこに至るまでの長い歳月やプロセス、そこに込めた自身の想いがあまりにも重く強くのしかかってきたからこそ、何かが狂い、何かが起こり、勝利を逃したのだと私は思う。それほど、勝ちかけて勝てなかった彼らは、そのとき「いつもとは異なる彼ら」になってしまっていた。