少しでも体が浮き上がれば、タイミングがズレて薄い当たりになってしまう。もちろん渋野もタイミングがズレるときはあるが、重心は低いままだからたとえダフったとしても距離を落とさず持っていけるヘッドの加速がある 。だから最終日の18番で「ちょっとダフった」という当たりも4.5mのチャンスにつけられたのだ。これこそ縦距離が合う理由だ。
「それができるのはアドレスで下半身から始動して、下半身から切り返すからです。テークバックを手で上げるのではなく、最初に動き出すのは下半身。切り返しも同じですね。下半身から動き始めるから手が余計な動きをしない。その後トップで作ったかたちから、クラブを最短距離で下ろせてくる。これは体感速度が速いソフトボールをやっていた影響だと思います。そして忘れてはいけないのが最後まで振り切るということ。これは自分の体をフルに使えているからできること。当てにいっていたのであれば、ダフれば距離は落ちますし、インパクトをミスすれば左右にブレる。縦距離も左右のブレも少ない理由はスイングにあるのです」(辻村氏)
最後にパッティングにも触れた。「一度入るとどんどん勘が冴えてくる感じでしたね。ウォーバーンGCのグリーンは、下へ向かって順目、上りへ逆目とはっきりと芝目がありました。加えてアンジュレーションも多い。そういったクセのあるグリーンでも持ち前の強気を失わずに次々と決められた。最終日の3番ホールで4パットのダブルボギーを叩いたら、普通の選手ならもう打ち切れません。でも最後の18番まで自分のスタイルを見失わなかった。それはスコアがどうというよりも、自分のスタイルを貫き通すことに主眼を置いているからです」。ティショットからパッティングまで“よそ行き”のゴルフは一切なかった。それが強さだった。
攻撃的な気持ちと裏表のない性格、それに加えて確かな技術。この3つが結実した42年ぶりの偉業達成だった。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
「それができるのはアドレスで下半身から始動して、下半身から切り返すからです。テークバックを手で上げるのではなく、最初に動き出すのは下半身。切り返しも同じですね。下半身から動き始めるから手が余計な動きをしない。その後トップで作ったかたちから、クラブを最短距離で下ろせてくる。これは体感速度が速いソフトボールをやっていた影響だと思います。そして忘れてはいけないのが最後まで振り切るということ。これは自分の体をフルに使えているからできること。当てにいっていたのであれば、ダフれば距離は落ちますし、インパクトをミスすれば左右にブレる。縦距離も左右のブレも少ない理由はスイングにあるのです」(辻村氏)
最後にパッティングにも触れた。「一度入るとどんどん勘が冴えてくる感じでしたね。ウォーバーンGCのグリーンは、下へ向かって順目、上りへ逆目とはっきりと芝目がありました。加えてアンジュレーションも多い。そういったクセのあるグリーンでも持ち前の強気を失わずに次々と決められた。最終日の3番ホールで4パットのダブルボギーを叩いたら、普通の選手ならもう打ち切れません。でも最後の18番まで自分のスタイルを見失わなかった。それはスコアがどうというよりも、自分のスタイルを貫き通すことに主眼を置いているからです」。ティショットからパッティングまで“よそ行き”のゴルフは一切なかった。それが強さだった。
攻撃的な気持ちと裏表のない性格、それに加えて確かな技術。この3つが結実した42年ぶりの偉業達成だった。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。