<ホンダLPGAタイランド 最終日◇23日◇サイアムCCパタヤオールドC(タイ)◇6632ヤード・パー72>
米ツアーメンバーとして2戦目に臨んだ岩井明愛が、魂のこもったプレーを見せた。最終日に1イーグル・10バーディ・1ボギーを記録し、トーナメントコースレコードとなる「61」をマーク。トータル27アンダーで2位に入った。惜しくも初優勝は逃したものの、大きなインパクトを残した4日間だった。
ただ、今大会での『優勝』と『2位』には天と地ほどの差があった。なぜなら、“推薦出場選手は優勝しない限り、順位に応じたポイントを獲得できない”というルールがあるからだ。
岩井は昨年の最終予選会を5位で突破したが、出場優先順位は決して高くなく、『カテゴリー15』に位置する。本来なら今大会(出場人数72人)には出場できなかったが、Hondaの所属選手として推薦を受け参戦。しかし、前述のルールにより、単独2位という好成績を収めたにもかかわらず、獲得ポイントは“ゼロ”だった。
このルールの影響を受けたのは岩井だけではない。妹の千怜や竹田麗央も同様にポイントを得られなかった。米ツアーでは日本ツアーと同様、ポイントランキングによってシード選手が決まる。それだけでなく、中盤戦の出場優先順位を見直す『リシャッフル』もポイントを基に決定されるため、“0”という結果は大きく響く。
コースで岩井の奮闘を見守った父・雄士さんは「置かれている立場に余裕はない」と表情を引き締める。「リシャッフルまでは本当に(試合数が)限られている」と話し、と語り、シーズン序盤での奮起が不可欠だと強調した。
それでも、優勝争いを経験できたことは大きな収穫だ。次戦は3月27日開幕の「フォード選手権」(米アリゾナ州)で、1カ月以上のブランクが空くため、この期間は国内女子ツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」に出場するなど、実戦を交えながら調子を維持する。
岩井をはじめ、予選会を突破した山下美夢有、千怜、吉田優利、馬場咲希にとって、シーズン序盤の結果が今後の試合数を大きく左右する。5月の第1回リシャッフルを乗り越えるため、訪れたチャンスをモノにし、確実にポイントを積み上げていきたい。