それでもこの時点でカットラインは2オーバー、3オーバーを行ったり来たりの状態で、まだ足りない。18番でバーディ以上は絶対に必須だった。ティが前に出ているパー5。「練習ラウンドでは刻んでいた」ホールも、攻めるしかないと覚悟を決めた。

ドライバーを握り振りちぎった球はピンまで残り219ヤードのフェアウェイ。「ギリギリ」狙える位置まで運んだ。さらに2センチ先にはディボット。「ほんと、神様〜って思った。すごくライも良かった」と天からもお膳立てを受けると、「マン振りして」と3番ウッドで池越えの2オンを狙い、ピン横約9メートルに2オンする。

風が強くなる午後組を考えれば安全に2パットでも、という選択肢はなかった。「最低2打は必要かなとは思っていた。最後、狙うか、狙うまいか迷ったけど、やっぱイーグル獲りにいかないといけないなと思ったので、最後は果敢に狙いました」。渋野らしい強気のパットは、同組の「クリスティ・カーさんの真似をしてゴーって」という気持ちが乗り移ったかのようにカップめがけて一直線。「ラインを読み切ったというか、もうやけくそでした。なんか緊張しちゃってたいたので、距離感どころじゃなかった。（もう一回やったら。）もう入らないです」と神がかり的なイーグルで週末への切符をつかんだ。

こんな奇跡のようなプレーが続いたのも、諦めなかったからだ。「一打の重みを感じることが多すぎましたね。メジャーではそればっかりだったので。やっぱり最後まで諦めないっていうのを今日はすごく感じられた。諦めちゃダメだなとすごく思った。たぶんこれからのゴルフ人生も、この2ホールで変わってくるかなと思う」。序盤のピンチ、わずかなチャンスを外した場面、池ポチャ、16番のボギー、18番のイーグルトライ…。一度でも弱気になり、諦めていればあと2日プレーすることは叶わなかった。

「あしたがあるのは、すごいうれしくて。あと2日、自分の悔いを残さないように、しっかりプレーできたらいい」。4月から続いた海外遠征だが、これで日本に戻るというプランもある。「とりあえず、3カ月の終わりなので楽しみたいです！」。残り36ホールも諦めずに攻める気持ちをもって、全力を尽くす。