もちろん、ゴルフは飛距離がすべてではない。稲見はショットメーカーとしてアイアンの精度で勝負するタイプ。そして初日は稲見が、23位タイのヴァレンズエラ、41位タイのファッシをスコアで上回ってもいる。ただ、より短い番手でグリーンを狙うことができたら、稲見にとって当然大きなアドバンテージになる。

小さいころから憧れだったという五輪だが、「特別な試合だけど、やってることは変わらない」と緊張感もなし。「一緒に回る選手が日本人ではないし、英語が話せないから会話もそこまでしない。ただ話せたら話したい。損している気分」と、物怖じしない性格も決して変わらない。さらに今年のオフに「海外には興味がない」と言っていた稲見が、「海外に行くにせよ…」とその可能性を示唆する言葉を口にしたのは意外だった。

今年の国内ツアー初戦となった、3月の「ダイキンオーキッドレディス」終了時の世界ランキングは63位。そこから5つの優勝を重ね、古江彩佳、渋野日向子らとのし烈な代表レースを“大逆転”で制した稲見にとって、自分を高めるための選択肢は日々増えていくのかもしれない。この4日間で、大きな“収穫”を得ることを期待したい。（文・間宮輝憲）