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無念の畑岡奈紗に秘かに贈った言葉【舩越園子コラム】

無念の畑岡奈紗に秘かに贈った言葉【舩越園子コラム】

配信日時:2021年8月9日 12時00分

「去年は勝てなくて自信がなくなっていたけど、このタイミングで勝てて自信になった」

ようやく取り戻した自信を抱き、五輪にやってきた畑岡が、「絶対にメダルを獲るぞ」と強く心に誓っていることは、彼女の表情や視線、練習姿勢のすべてから、ひしひしと伝わってきた。それは、怖いほどに鬼気迫るものだった。

一方で、こんな出来事もあった。すでに稲見が楽天スーパーレディース出場のため兵庫へ移動し、チーム・ジャパンの3人が一緒に練習ラウンドをしていたときだった。
男子選手用のバックティから松山と星野がティショットを打ち、少し前方の女子選手用のティから畑岡がティショットを打つと、松山や星野、そのキャディたち、それに男女それぞれのヘッドコーチの丸山茂樹と服部道子などの一団がフェアウエイへ向かって歩き出した。

しかし、ドライバーでもう1球打ちたいと思った畑岡は、そのままティイングエリアに留まり、どんどん先を歩いていく一団に気付いてもらおうと、ドライバーを頭上に掲げて振ったり、手を振ったりして合図を送り続けた。だが、なかなか気づいてもらえなかった。

「すいませーん!」、「もう1球、打ちまーす!」などと叫んでしまえばよかったのだろうが、畑岡は大先輩ばかりの一団に向かって、どうしてもその一言が口にできず、ただただ手を振り続けていた。

見かねた私が「後ろから打ちます!」と叫び、私の声を丸山コーチがキャッチ。一団が大急ぎでフェアウエイの脇に寄ると、畑岡は一団に一礼し、ようやく、もう1球を打った。

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