「悩みました」と、その時の心境を振り返る。ただの“攻めっ気”というわけではなく、ただこの結論には渋野の明確な意思が込められていた。
「(風は)フォロー。スプーンは(球が上がり)キャリーは出るけど、グリーン手前が受けていた。それだとあまり転がってくれない。それならドライバーで低い球を打った方が転がってくれるだろうなと。結果的に狙いやすいところに置けました」
もちろんリスクだってある。3打目地点からグリーンにかけて伸びる、右の池も気にならないわけではない。ただ3番ウッドで打った場合、右サイドに切られたピンの直線上にあるバンカーは越えての3打目勝負になることも想定できる。「あそこ(花道)まで行けば、バンカーにも右の池にも入ることはない」。そのアプローチは3.5メートルほどオーバーしたものの、この下りのバーディパットをねじ込んで、攻撃的なマネジメントを完遂させた。
このハワイでの挑戦は、これから米国ツアーの戦いを続けていくうえでの大きなオプションにもなり得る。「芝が硬い全英とかでは使えないかもしれないけど、今回みたいな軟らかい場所では、これからも使えるかもしれない。分からないですけど…フフフ」。試行錯誤の一環か、それとも懐刀として携えるのか。それは今後の戦いぶりを見ていれば分かる。
終盤には7番で打った8メートルのバーディパット、そして最終9番のグリーン奥からのアプローチがともに“あと一転がり”でカップインという惜しいプレーも続いた。風が強いハワイであれば、10秒待って、その風がボールを押してくれることを期待してもよさそうなものだが、渋野はすぐにこれを流し込んだ。「あれは潔ぎよく。さっさと帰りてーなって(笑)」。こんな豪胆さが、そのプレーの礎にある。
強風のなか、ただ耐えるだけでなくしっかりとスコアも2つ伸ばし、トータル3アンダー・11位タイで決勝に進む。「(3日目も)どうせ風のなか。きょうみたいにスイングをしっかりすれば、スコアもまとまると思う。上位との差はあるけど(トップと7打差)、そこで戦っていると思うと欲が出る。抑えながら、風と向き合う」。ムービングデーは、どんなプレーを見せてくれるのか。それが楽しみになる2日間の予選ラウンドだった。(文・間宮輝憲)
「(風は)フォロー。スプーンは(球が上がり)キャリーは出るけど、グリーン手前が受けていた。それだとあまり転がってくれない。それならドライバーで低い球を打った方が転がってくれるだろうなと。結果的に狙いやすいところに置けました」
もちろんリスクだってある。3打目地点からグリーンにかけて伸びる、右の池も気にならないわけではない。ただ3番ウッドで打った場合、右サイドに切られたピンの直線上にあるバンカーは越えての3打目勝負になることも想定できる。「あそこ(花道)まで行けば、バンカーにも右の池にも入ることはない」。そのアプローチは3.5メートルほどオーバーしたものの、この下りのバーディパットをねじ込んで、攻撃的なマネジメントを完遂させた。
このハワイでの挑戦は、これから米国ツアーの戦いを続けていくうえでの大きなオプションにもなり得る。「芝が硬い全英とかでは使えないかもしれないけど、今回みたいな軟らかい場所では、これからも使えるかもしれない。分からないですけど…フフフ」。試行錯誤の一環か、それとも懐刀として携えるのか。それは今後の戦いぶりを見ていれば分かる。
終盤には7番で打った8メートルのバーディパット、そして最終9番のグリーン奥からのアプローチがともに“あと一転がり”でカップインという惜しいプレーも続いた。風が強いハワイであれば、10秒待って、その風がボールを押してくれることを期待してもよさそうなものだが、渋野はすぐにこれを流し込んだ。「あれは潔ぎよく。さっさと帰りてーなって(笑)」。こんな豪胆さが、そのプレーの礎にある。
強風のなか、ただ耐えるだけでなくしっかりとスコアも2つ伸ばし、トータル3アンダー・11位タイで決勝に進む。「(3日目も)どうせ風のなか。きょうみたいにスイングをしっかりすれば、スコアもまとまると思う。上位との差はあるけど(トップと7打差)、そこで戦っていると思うと欲が出る。抑えながら、風と向き合う」。ムービングデーは、どんなプレーを見せてくれるのか。それが楽しみになる2日間の予選ラウンドだった。(文・間宮輝憲)