<トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープン 3日目◇30日◇ダンドナルドリンクス(スコットランド)◇6494ヤード・パー72>
今季最後のメジャー大会の前哨戦がスコットランドで行われている。舞台は次週の「AIG女子オープン」(全英)とは東西反対のスコットランド西海岸。とはいえ、リンクスコースは同じで、風やフェスキュー、ブッシュに気まぐれな天気も同じだ。
「アスレチック」な渋野日向子のスイング【動画】
大会の予選ラウンド2日間、不振から脱却を図りたい渋野日向子は、元世界1位のリディア・コ(ニュージーランド)、今季メジャー大会初戦の「シェブロン選手権」でツアー初優勝を遂げたジェニファー・カプチョ(米国)とのグループ。その2日間で、渋野の言葉を借りれば“レベチ”、つまりレベル違いのゴルフを目の当たりにした。
予選ラウンドを終えた渋野はトータル2オーバーで予選落ち。リディアは連日の「65」でトータル14アンダーの単独首位。ジェニファーは初日イーブンパーと出遅れたが、2日目に「68」をマークし、調子が悪いながらも楽々予選を通過した。
リディアは3日目を終えてトップタイに立ち、優勝戦線を引っ張っている。渋野はリディアのゴルフに舌を巻いたが、逆にリディアは渋野のことをどう見たのか。今回初めてラウンドしたという2人。2日目終了後、リディアに話を聞いてみた。
「数年前に全英に勝っている選手。まぐれでメジャーは勝てない。実力があるから勝てるの」。まずは同じメジャーチャンピオンとしてのリスペクトを示した。「今年のハワイ(ロッテ選手権)でも優勝争いをしている。いいときも悪いときもあるから、今どうこうということはないと思うわ」。
さかのぼること10年前。当時15歳と4カ月のリディアは、米ツアーの「CNカナディアン女子オープン」で史上最年少優勝を果たした。そしてその翌年には同大会を連覇。その後も天才少女ともてはやされ、18歳でメジャー大会も制覇した。順風満帆なツアー生活を送っていた。
16年までの4年間、10代で14勝、メジャー2勝。世界ランキングも1位に君臨し黄金期を築いていた。それが、途中コーチを変え、スイングも変えたことで一気に低迷。18年4月に1勝こそしたものの、長いスランプに陥ることになった。それでも昨年4月、渋野が今年優勝争いを演じたのと同じ「ロッテ選手権」で復活優勝。今季もすでに1勝を挙げて、輝きを取り戻している。
そんな自身の経験もあるから、渋野については「これからよ」と温かい言葉をかける。そして渋野が昨年から取り入れている新スイングについても持論を展開してくれた。
「彼女のスイングは“アスレチック”。今までの日本人選手はどちらかというとゆったりとしたテンポでリズム感のあるスイングだった。アイ・ミヤザトがそうだったわよね。ヒナコは新しいスイングに挑戦していると思うし、何が自分に向いているかは自分にしか分からない。他人がどう言おうが、進めればいいと思う」と、自身も繰り返したスイング改造については理解を示している。
渋野とリディアは予選ラウンドの2日間、二人で話ながらフェアウェイを歩くシーンが多く見られた。中身については「くだらない話よ(笑)」とリディアは笑うが、「私と違うところがひとつあると思った」と渋野の印象を教えてくれた。「彼女は目元も口元も心から笑っていると思える素敵な人。私はよく作り笑いをしていたから分かるの(笑)」。
学年で言えばひとつしか違わない2人。脚光を浴びた年齢こそ違えど、その注目度は並大抵のものではなかったはずだ。渋野が戦う米ツアーにはいろんな選手がまだまだたくさんいる。戦友でもありライバルでもあり、ツアーメンバーの仲間でもあるそんな選手たちから、渋野はこれからも多くのことを学び、成長していくのだと思う。そう感じさせてくれるリディアの話だった。
ちなみに、リディアはボギーなしで予選2日間を駆け抜けた。「あと2日、2倍したら28アンダーで優勝だね」と冗談を言ってみた。「そうなるといいけど、それは難しいかな(笑)」と笑ってくれた。3日目は早々にボギーを喫したが、その後はカムバック。現在のスコアはトータル15アンダー。“レベチ”なゴルフで、ぜひとも最終日のビッグスコアを見せてほしい。(文・高桑均)
今季最後のメジャー大会の前哨戦がスコットランドで行われている。舞台は次週の「AIG女子オープン」(全英)とは東西反対のスコットランド西海岸。とはいえ、リンクスコースは同じで、風やフェスキュー、ブッシュに気まぐれな天気も同じだ。
「アスレチック」な渋野日向子のスイング【動画】
大会の予選ラウンド2日間、不振から脱却を図りたい渋野日向子は、元世界1位のリディア・コ(ニュージーランド)、今季メジャー大会初戦の「シェブロン選手権」でツアー初優勝を遂げたジェニファー・カプチョ(米国)とのグループ。その2日間で、渋野の言葉を借りれば“レベチ”、つまりレベル違いのゴルフを目の当たりにした。
予選ラウンドを終えた渋野はトータル2オーバーで予選落ち。リディアは連日の「65」でトータル14アンダーの単独首位。ジェニファーは初日イーブンパーと出遅れたが、2日目に「68」をマークし、調子が悪いながらも楽々予選を通過した。
リディアは3日目を終えてトップタイに立ち、優勝戦線を引っ張っている。渋野はリディアのゴルフに舌を巻いたが、逆にリディアは渋野のことをどう見たのか。今回初めてラウンドしたという2人。2日目終了後、リディアに話を聞いてみた。
「数年前に全英に勝っている選手。まぐれでメジャーは勝てない。実力があるから勝てるの」。まずは同じメジャーチャンピオンとしてのリスペクトを示した。「今年のハワイ(ロッテ選手権)でも優勝争いをしている。いいときも悪いときもあるから、今どうこうということはないと思うわ」。
さかのぼること10年前。当時15歳と4カ月のリディアは、米ツアーの「CNカナディアン女子オープン」で史上最年少優勝を果たした。そしてその翌年には同大会を連覇。その後も天才少女ともてはやされ、18歳でメジャー大会も制覇した。順風満帆なツアー生活を送っていた。
16年までの4年間、10代で14勝、メジャー2勝。世界ランキングも1位に君臨し黄金期を築いていた。それが、途中コーチを変え、スイングも変えたことで一気に低迷。18年4月に1勝こそしたものの、長いスランプに陥ることになった。それでも昨年4月、渋野が今年優勝争いを演じたのと同じ「ロッテ選手権」で復活優勝。今季もすでに1勝を挙げて、輝きを取り戻している。
そんな自身の経験もあるから、渋野については「これからよ」と温かい言葉をかける。そして渋野が昨年から取り入れている新スイングについても持論を展開してくれた。
「彼女のスイングは“アスレチック”。今までの日本人選手はどちらかというとゆったりとしたテンポでリズム感のあるスイングだった。アイ・ミヤザトがそうだったわよね。ヒナコは新しいスイングに挑戦していると思うし、何が自分に向いているかは自分にしか分からない。他人がどう言おうが、進めればいいと思う」と、自身も繰り返したスイング改造については理解を示している。
渋野とリディアは予選ラウンドの2日間、二人で話ながらフェアウェイを歩くシーンが多く見られた。中身については「くだらない話よ(笑)」とリディアは笑うが、「私と違うところがひとつあると思った」と渋野の印象を教えてくれた。「彼女は目元も口元も心から笑っていると思える素敵な人。私はよく作り笑いをしていたから分かるの(笑)」。
学年で言えばひとつしか違わない2人。脚光を浴びた年齢こそ違えど、その注目度は並大抵のものではなかったはずだ。渋野が戦う米ツアーにはいろんな選手がまだまだたくさんいる。戦友でもありライバルでもあり、ツアーメンバーの仲間でもあるそんな選手たちから、渋野はこれからも多くのことを学び、成長していくのだと思う。そう感じさせてくれるリディアの話だった。
ちなみに、リディアはボギーなしで予選2日間を駆け抜けた。「あと2日、2倍したら28アンダーで優勝だね」と冗談を言ってみた。「そうなるといいけど、それは難しいかな(笑)」と笑ってくれた。3日目は早々にボギーを喫したが、その後はカムバック。現在のスコアはトータル15アンダー。“レベチ”なゴルフで、ぜひとも最終日のビッグスコアを見せてほしい。(文・高桑均)