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渋野日向子、劇的チェンジの真相を青木翔コーチに聞く 目指すは「スピンの利いたドロー」

渋野日向子の劇的スイング改造を、約2年ぶりに再タッグを組んだ青木翔コーチが語る。

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2023年3月28日 12時00分

2019年に撮影された渋野日向子と青木翔コーチ
2019年に撮影された渋野日向子と青木翔コーチ (撮影:岩本芳弘)

渋野日向子が青木翔コーチの門を叩いたのは2017年のこと。18年のプロテスト合格をサポートし、19年に「全英AIG女子オープン」を制覇したときもキャディ兼コーチとして青木コーチが隣にいた。しかし、20年末で契約を解消。21年から約2年間は「自分でやりたいことは自分でやってみる」と、いろんな選手にアドバイスを聞きながら、渋野は試行錯誤してきた。

その間、まったく交流がなかったわけではない。妹の暉璃子(きりこ)が青木コーチに習っていることもあって、姉が一緒についてきたことも。そして、このオフから再び2人はタッグを組むことになる。その経緯を青木コーチに聞いた。

■最終戦後にライン「練習行ってもいいですか?」

渋野が離れてからは「何かやりたいことがあるんだろうなという感じで見ていました。前に見ていた人間が言うと批判になるので、一切何も言わなかった」と、渋野がアドバイスを求めない限り、青木コーチは静観を決め込んでいた。

それが昨年の最終戦後、ついに渋野から連絡が入る。「最初は『ちょっとわかんない』みたいな相談でした。そして本人から『練習行ってもいいですか?』とラインが来て、スタートしました」。今年の米ツアー初戦までのおよそ2カ月間、渋野は週3回のペースで青木コーチのもとに通い、「突貫工事」というスイング改造が始まった。

では渋野は何に悩み、何を変えたかったのか? 「自分が何でこうなって、何でこういう球が出るのかを含めて、何をしていいのかわからないのだろうなと感じました」。昨年までのスイングは、トップを低くしたことで、ヘッドは低い位置から入るようになった半面、ドローがきつくなっていた。特に悩まされたのは右プッシュだった。

「低スピンのインサイド・アッパーのドローだったんです。そんなにインサイドから入れていたら、右プッシュが出るよねって」。また、トップを低くした影響はアイアンショットにも表れた。「スピンが少ないからグリーンに止まりづらいし、そもそも洋芝の沈んだライは打てない。『ツマ先下がりとか、左足下がりも打てないよね』と言ったら、『打てません』と。苦手な傾斜もそれが原因だよっていう話はしました」。

22年のスイング(右)と今年のスイング(左)の比較
22年のスイング(右)と今年のスイング(左)の比較
22年のスイング(右)と今年のスイング(左)の比較
22年のスイング(右)と今年のスイング(左)の比較
22年のスイング(右)と今年のスイング(左)の比較
22年のスイング(右)と今年のスイング(左)の比較
22年のスイング(右)と今年のスイング(左)の比較
22年のスイング(右)と今年のスイング(左)の比較
22年のスイング(右)と今年のスイング(左)の比較
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22年のスイング(右)と今年のスイング(左)の比較 (撮影:ALBA)

■「単純にいうと上から潰す」スイング

そんな2人がいま取り組んでいるのは、「スピンの利いたドロー」だ。22年はすくい打ちのような形で、上体が右に倒れてヘッドが低い位置から入るため、スピン量が少なかった。「だからまずトップを上げよう、と。単純にいうと上から潰す」。それは2カ月で『ここまで変わるか』と思えるほど、スイングに顕著に表れている。22年のトップは後方から見て手元が頭の位置よりも低かった。それが今年は手元が頭よりも高い位置に上がっている。

それにしても、片山晋呉や石川遼が3、4年かけて行ってきたスイング改造を、渋野はわずか2カ月で劇的に変えたことに驚きしかない。「僕もそういうこと(短期間でのスイング改造)はあまりしない。選手にとってはちょっとずつ、ちょっとずつズラしていくのがベターなんですけど、状態が状態なので、思い切ってやるしかなかった」と振り返る。

しかも、グリップ、アドレス、スイングの形までのフルチェンジ。初めのうちは違和感が出そうだが、「幸運なことに、細かいフィーリングを使って打ち分けていく選手ではなく、どちらかというと同じスイングで常にドーンと打っていくタイプ。それができたのが不幸中の幸いかなと思っています」という。今年3戦を終えて、27位、33位、7位と、それなりに結果も出しているのだ。

■昨年までのスイングを「利用してミックス」

スイングを以前の形に戻しているようにも見えるが、そうではない。自身の開幕戦となった2月の「ホンダLPGAタイランド」で渋野はこう話している。「2019年に戻すわけではなく、新しいものを作る感じ。“新生渋野”ですね」。これについて青木氏も「(以前のスイングは)ちょっと行きすぎた部分はありましたが、トップを低くしたおかげで手元は低く入ろうとするので、それはそれで利用して、2019年とか2020年に戻すというよりはミックスさせてやればいい」と話す。

スイング改造によってドライバーでボールのスピンが増えて吹け上がるようになり、前週に米アリゾナ州で行われた「LPGAドライブオン選手権」から、ピンの『G430 MAX』から低スピンモデルの『G430 LST』にチェンジした。「一応予想はしていたんですけど、思ったよりも早い段階で吹いちゃった。(1戦目と2戦目の)タイ、シンガポールはそれで行くしかなかった」と青木コーチ。スイング改造の途中にあるため、今後も「スイングに合わせてクラブの調整もやりながら」という戦いになる。

■思い切りの良さが消えたのは理解しすぎ!?

2年ぶりのやりとりに青木コーチは「クラブ1つ打ってみても、どう? と聞くと以前よりは(答えが)返ってくるようになりました」と渋野の成長を感じつつ、「そこまで理解する必要もない」とも考えている。「思い切りの良さがシブコの一番いいところ。それが消え失せるのが一番勝てない理由だと思っています。理解しすぎるとシブコの良さがなくなるので、人に任せればいい。まだ模索している段階なので何ともいえないけど、僕のなかではそう思っています」。

最終地点は『ドロー』だというが、先週は『フェード』を打っている場面もあった。「出ちゃうんですよ(笑)。フェードを打とうとは思っていないはずですよ。しばらくはもうちょっと苦戦するともちろん思っているし、試合をやりながらなので、上手くいかないこともあると思うんです。そのなかでゲームを作るのがプロゴルファーの仕事なので、シェブロンくらいまでに1つのピークを持っていきたい」とコーチは見ている。

4月20日に開幕する今季メジャー初戦「シェブロン選手権」に照準を合わせ、「見られる範囲で試合を見て、質問がきたら返せるように」とラインなどでやりとりしながら、調整を続けていくことになる。そんななか、前週のLPGAドライブオン選手権では初日に「74」と出遅れながら、その後の3日間で18ストローク伸ばし、トータル16アンダーで今季初のトップ10となる7位タイに入った。渋野らしい爆発力が戻ってきた印象がある。

「メジャーだろうが、メジャーじゃない試合だろうが、とにかく優勝するのが一番の目標」と青木コーチ。4月は昨年2位に入った「ロッテ選手権」(4月12~15日)、4位タイに入ったシェブロン選手権(4月20~23日)が続く。渋野を誰よりも知る青木氏とのコンビ復活、そして2人の予想よりも早く適応しつつある新スイングに期待しかない。

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