<ホンダLPGAタイランド 事前情報◇17日◇サイアムCC オールドC(タイ)◇6632ヤード・パー72>
先週、試合のために滞在していたサウジアラビアからタイへ渡った、姉・明愛、妹・千怜の岩井ツインズ。姉が「(先週の)最終日は長袖を2枚着ても寒くて、ジャンバーも羽織って。手もかじかみましたし」と証言する場所から、一転、汗がしたたり落ちるほど蒸し暑い場所でのゴルフと、環境がガラリと変わる。それでも妹の千怜は「影響ないです」と自信をうかがわせる。
その言葉通り、10番からスタートした9ホールの練習ラウンドでは元気な姿をみせた。1つ年下の佐藤心結とともに、3年連続でプレーすることになるコースの感触を確かめる。その印象は、「相変わらず難しいですね。アンジュレーションがあるし、速いし。今年は特に早く感じた」(明愛)、「めちゃくちゃキレイですよね。でも去年より地面が硬い気がする」(千怜)と、特にグリーンが警戒ポイントになる。
千怜には、苦い思い出がある。それは18番パー5の、縦長の2段グリーンにまつわるものだ。手前が砲台のように急激な傾斜になっているここで、昨年の2日目に大きなミスが出てしまった。3打目、4打目のアプローチが傾斜に戻されると、続いて警戒しすぎたのか5打目が今度はピンを大きくオーバー。一時は首位と1打差まで迫っていたが、結果的にダブルボギーを叩き、後退するという“トラブル”に見舞われていた。
それもあり、この日の練習ラウンドでは、“因縁の場所”を入念にチェック。「去年はあそこからバーディを狙ったけど、ここに(ボールが)落ちたらパーを拾うという思考になりました。同じミスをしないようにと思えたし、去年、回っていてよかったですね」。苦い経験が、今年はアドバンテージとなる。
今大会の出場人数は、ポイントランキング80位までのシード選手よりも少ない72人に絞られている。昨年末の米国女子ツアー最終予選会を勝ち抜いてメンバー入りを果たした2人の優先出場順位は、千怜が141位で、明愛が144位。本来であれば出場できない位置だ。しかし大会冠スポンサーのホンダ所属ということもあり、推薦での出場が叶った。予選落ちがない今大会では、推薦の選手にはポイントは与えられないが、ホステスプロとして大会の盛り上げを誓う。
オフの合宿でも、このサイアムCC オールドCは2回ラウンドし、予習もバッチリ。「ここまでいいペースなのかは、初めて(米国ツアー初年度)ということもあって分かりません。いつもよりオフも短かったけど、試合に出られるありがたさを感じています。日本ツアーだけでなく、海外ツアーに出られる環境を大事にしたい」。千怜は、姉妹両方が抱く気持ちをこう代弁する。
トラブルもあったが千怜は昨年13位となり、日本勢最上位で大会を終えている。さらに先週のサウジアラビア大会も4位と、いいイメージももちろん多い。明愛は昨年60位だった借りを返したい。目標を聞くと両者の答えは「楽しみたい!」とシンクロ。姉妹そろって精いっぱいの“恩返し”を目指していく。(文・間宮輝憲)