<ヒルトン・グランド・バケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ 最終日◇2日◇レイクノナG&CC(米フロリダ州)◇6624ヤード・パー72>
堂々のデビュー戦だった。今季から米ツアーメンバー入りを果たし、これが初戦だった竹田麗央はトータル11アンダー・8位に入った。過去2シーズンの優勝者のみが出場できるエリートフィールドで、いきなりのトップ10。自己評価も「80点」と上々で、晴れやかな表情だった。
最終日は6位からスタート。右ラフ、グリーン左手前バンカーと渡り歩いた3番でボギーが先に来たが、4番パー3で2メートルにつけてバウンスバック。「修正できるミスで発見があった。振り切りがちょっと弱いなと思って、しっかり振っていくようにしました」と力強い弾道を取り戻した。
ティショットを右に曲げた8番をボギーとしたが、2打目を花道まで運んだ9番パー5でバーディ。そこから11番まで3連続で伸ばして流れを作ると、ショットのミスをアプローチでカバーしながら、15番からは2連続バーディを奪った。「前半はなかなかスコアを伸ばせなかったけど、後半にバーディパットが決まった。いい上がり方だった」。竹田らしいサンデーバックナインのチャージで、日本の年間女王が真価を発揮した。
3日目の「71」で首位との差は8打となり、最終日の優勝争いからは一歩後退していた。「きのうがもったいなかった」と嘆く一方で、「トップ10で終われるのは良かった」と充実感をにじませた。「自分のゴルフを毎週出し切れれば、スコアもついてくる」。存在感をアピールし続けたデビュー戦。これからの転戦に期待を抱かせる4日間となった。
ほかにもうれしい出来事があった。今大会はセレブとのプロアマ形式で行われたが、最終日はツアー通算72勝を誇る“女帝”アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)と同組に。2008年にソレンスタムが引退したとき、竹田はまだ5歳。全盛期のプレーをリアルタイムでは見ていないが、その偉大さは十分に理解している。「きのうペアリングを見てびっくりした。一緒に回れる日が来るとは思っていなかった。本当に貴重な一日だった」。憧れのレジェンドとの18ホールを楽しみ、自ら英語で話しかける場面もあった。
オフは多忙で思うように練習時間を確保できなかったが、開幕前にはハワイで合宿を張り、ショートゲームを中心に取り組んできた。その成果を発揮しながら、持ち味のショットについても次第に感覚をつかんできた。
「(試合が)始まる前は少しふわふわしていたけど、ゴルフの感覚がをつかめてきた。まずは1試合を終えて、すごくいい経験ができた。来週からも気を引き締めて頑張りたい」。次は6日(木)に同じフロリダ州で行われる「ファウンダーズカップ」に出場する。「新鮮な一週間だった。試合はこれからも続くので頑張りたい」。大型ルーキーが確かな一歩を踏み出した。(文・笠井あかり)