<ホンダLPGAタイランド 初日◇20日◇サイアムCCパタヤオールドC(タイ)◇6632ヤード・パー72>
少しはにかみながら、「このコース好きではないんです…。まだ全然慣れない感じ」と“告白”をしたのは、10アンダーで単独首位発進した岩井明愛だ。この日、打ち立てた「62」は、2018年第2ラウンドのジェシカ・コルダ(米国)、そして22年最終ラウンドの笹生優花に並ぶ大会コースレコード。だが、そんな苦手意識から「気が抜けない」と浮かれる様子は一切ない。
西郷真央との同組でスタートすると、2オンに成功した1番パー5のバーディから、4連続でスコアを伸ばした。パー4の2番、3番、そしてパー3の4番は、いずれも3メートル以内のパットを決めたもの。「ショット、アイアン、パターの全部がよかった。フェアウェイの打ちやすいところからピンを狙えました」。7番からも3連続バーディを記録し、前半は驚異の「29」。自己評価の「100点ですね」という言葉にもうなずける。
3年連続の出場となる大会だが、初出場時が38位、昨年が60位と結果を残せてはいない。それが、冒頭の言葉の理由にもなる。「グリーンのアンジュレーションがすごくて、ピン位置によって求められるショットが難しい。風が吹くと、もう少し難しくなりますね」。決していいイメージがないなか、バーディが続いても「平常心」を保ち、それをスコアにつなげた。
2週前に迎えた本格参戦後の米ツアーデビュー戦「ファウンダーズカップ」は予選落ち。先週はサウジアラビアで行われた欧州女子ツアー「PIFサウジ女子インターナショナル」に出場したが、47位に終わっていた。この3週間で米国、サウジアラビア、そしてタイと3カ国を渡り歩いてプレーしているが、そのなかで状態を上げるため、パター練習に時間を割いてきた。「うまくいかないことが多かったので練習にも熱が入りました。きょう、いい形でスコアに出た」。それがこの日のパット数「26」にもつながっている。
まだ初日を終えたばかりだが、2位に3打のリードをつけるロケットスタートに成功。“苦手”という気持ちがほどよい緊張感を生み出し、それもプレーにいい影響を与えている。所属先のホンダの冠大会では、多くのギャラリーを引き連れ大きな声援を浴びた。「力になります。海外だと日本の方がいる試合はあまりない。きょうもたくさん拍手をもらったり、うれしかったです」。残り54ホールもアクセル全開にして突っ走りたい。(文・間宮輝憲)