<ロッテ選手権 最終日◇15日◇ホアカレイCC(米ハワイ州)◇6573ヤード・パー72>
ホアカレイCCに畑岡奈紗のプレーを真剣に見入る、ひとりの少女がいた。ハワイに在住する6歳のカーラ・ブラウワーちゃん。小さい体ながら「Nasa!」という応援に力がこもる。
2人が出会ったのは先週のこと。ハワイで行われ、畑岡が“先生”として参加したジュニアレッスン会に、2歳半からゴルフを始めたカーラちゃんがいたことがきっかけだ。一緒にいた母・瑛子さんは、「それまではタイガー・ウッズがナンバー1だったんですけど、その日からは奈紗ちゃんが1位で、タイガーが2位になってしまったんです」と笑う。その時までは“畑岡奈紗”という選手のことは知らなかったというが、ゴルフを教わり、一目でファンになった、というわけだ。
カーラちゃんは、畑岡の魅力について「全部好き! かわいい」と話しているという。今週の大会も、4日間、計72ホールを畑岡の組に付いて一緒に歩き切ったというのだから驚きだ。強風もあり、大人でも完走するのは大変だが、そこは“無尽蔵の体力”というべきか。カーラちゃんは、選手たちが移動すると一緒に走って、次の地点へと向かう。さらに翌日には、自分のゴルフの練習もあるという話を聞いて、また驚かされた。
もともと新型コロナウイルスの影響で、遊び場の閉鎖が続き、それだったらと始めたゴルフに今は熱中している。たどたどしいながらもしっかりした英語で、「プロゴルファーになりたい!」という夢も話す。キャリアのなかで「初めて」レッスン会に参加した畑岡は、そんな“小さな応援団”について聞かれると、「きょうはいいプレーを見せられなかったですけど、未来のLPGAプレーヤーたちがガールズゴルフなどのコミュニティから出てきたらうれしいなと思います」と希望を話す。その想いは決して一方通行ではない。
瑛子さんから「プレー中には静かにするように」と言われているため、スイング中はじっと畑岡のことを見て、プレーが終わるとまるで大きな遊び場のようにゴルフ場を駆け回る。今は幼稚園に通い、今年8月には小学1年生になるというカーラちゃんに4日間の感想を聞いてみると、「あと1000回は見たい!」と“物足りない”といわんばかりの答えが返ってきた。その姿を見て、レッスン会などの草の根活動の重要性も感じた。またどこかの会場で、元気いっぱいに応援する声を聞くことができそうだ。(文・間宮輝憲)