今季のメジャー最終戦「AIG女子オープン」が幕を閉じました。と同時に筆者の初海外取材も無事に終わりホッと胸をなでおろしているところであります。そこで、スコットランドでの体験を少しだけお伝えします。一記者の“日記”…という程度に読んでいただけると幸いです。
来ました“聖地”セント・アンドリュース ゴルファー憧れの場所はやっぱりすごかった!【新人記者ドタバタ英国取材記】
ゴルフの聖地と呼ばれるセント・アンドリュースに新人記者が潜入! ドタバタだった英国取材記をお届けします
配信日時:2024年8月27日 03時00分
今季のメジャー最終戦「AIG女子オープン」が幕を閉じました。と同時に筆者の初海外取材も無事に終わりホッと胸をなでおろしているところであります。そこで、スコットランドでの体験を少しだけお伝えします。一記者の“日記”…という程度に読んでいただけると幸いです。
初となる海外取材は「ISPS HANDA スコティッシュ女子オープン」と「AIG女子オープン」の2試合で、スコットランド滞在期間は2週間。5泊のハワイ旅行くらいしか海を渡った経験がない筆者にとって、不安の連続でした。羽田→ヒースロー→グラスゴーと乗り継ぎ、合わせて約16時間のフライトを終え、無事到着です!
ほっとしたのもつかの間、まずはドキドキの初の海外ドライブをしなくてはなりません。手続きを終え、いざ出発。道路に出ると日本と同じ左車線ということもあり、「あれ、運転しやすいかも?」なんて思っていたのですが…、見たこともない交差点が飛び込んできました。ラウンドアバウトです。日本式に言えば「ロータリー」と言うのか、ルートを変更するためにそこを“クルリと回る”ような道。時計回りの一方通行で、一車線の場合もあれば二車線、三車線とあり、これがよく分からない。何度も出口を間違え、車線変更したところ後続車にクラクションをならされる始末。先が思いやられる…。
しかし、意外と不思議なもので慣れてくると、「信号を待つより楽かも」なんて気持ちも芽生えてきました。そんなこんなでエアという街の宿に到着し、ここからは宿と最初の取材地ダンドナルド・リンクスを往復する日々が始まりました。そのなかで、人生初のパンクを異国の地で経験してしまい…。自動車専用道路から降りて、車通りの少ない路肩に止められたものの、そこは田舎町。冷たい風にあたりながら茫然と立ち尽くし、ロードサービスの到着を待ちました。人生で一番長い待ち時間だったかもしれません。来てくれたロードサービスのお兄さんのやさしさが温かかったのが不幸中の幸いでした…。
古江彩佳選手が優勝争いを繰り広げたスコティッシュ女子オープンの取材もなんとか終え、いよいよ次はセント・アンドリュースに。ゴルファーであれば一度は訪れたい憧れの場所。どんな景色が広がっているのか、今でも、あのワクワク感は忘れられません(笑)。エアの街から車を走らせること2時間半。セント・アンドリュースの街を進み、細い道を左折すると、正面には海が広がり、そして左手には広大なフェアウェイとゴルフの総本山であるR&A(全英ゴルフ協会)が目に飛び込んできました。「早く近くで見たい!」。高まる気持ちを抑え、足早にコースへ向かったのですが、すぐにその“オーラ”に圧倒されることになります。
1番、18番を共有する波のようなアンジュレーションを持つフェアウェイを取り囲むように存在する歴史ある建物が独特の雰囲気を醸し出していて、これがたまらない! さらに周りにはゴルフショップやお土産も建ち並び、まさに「ゴルフの街」でした。17番の“トミーズバンカー”、さらに名物のスウィルカン・ブリッジも間近で見てしまいしまい、鳥肌モノです。歴史が散りばめられた“聖地”を一周してみて、ゴルフ場というより、“世界遺産”を見たかのような感覚でした。まさに神が作ったコースです。
コースを歩いただけで感動でしたが、1週間ここが“職場”になるのだからまさに仕事冥利につきます。時間帯や天気によってもコースは表情を変え、スコットランド特有の鉛色の空も似合えば、西日に照らされるフェアウェイもまさに美しく、事あるごとに写真を撮りまくりました(笑)。
ただ、浮かれてばかりはいられません。この大会は日本勢19人が出るということで、取材は息つく間もなく行われました。日が長いスコットランドでは、試合が終わるのは夜7時を過ぎることも。外は明るいのに「もうこんな時間!」と慌てて原稿を書く日々となりました。
ほとんどの日本人選手はセント・アンドリュースが初めて。スウィルカン・ブリッジで記念写真をしたりと各々が聖地でのラウンドを楽しんでいました。しかし、いざ試合が始まると、毎日のように強風が吹き、雨が降り、と4日間通して落ち着いたコンディションだった日は無く、そしてとにかく寒かった。さらに、午前と午後で天候が大きく変わり、これが“一日に四季がある”と言われる英国かと感じたり。スタート時間の運にも左右されという要素を持ち合わせた大会でした。日本人選手たちも「経験したことのない風」と口をそろえるほど。そんな過酷な状況を戦い抜く選手たち。疲れもあるなか、みな笑顔で取材に応じてくれました。
ホールアウトしてくる日本人選手たちの話を次々と聞いて、原稿を書いて…と慌ただしい日が続き、気づけば『もう最終日か~』といった感覚。ラストシーンは、多くのギャラリーが詰めかけ、優勝争いを見守るなか、リディア・コ選手の優勝で幕を閉じました。先にホールアウトしていたリディア選手は、1番のティグラウンド横にあるパッティンググリーンで結果を待ち、優勝が決定するとギャラリーから割れんばかりの拍手。メジャー特有の雰囲気とともに会場が一体感に包まれた瞬間でした。
1番、18番の広大なフェアウェイの中央に立ったリディア選手の姿は輝いていましたし、なにより“聖地”が放つ独特の空気感はやっぱりすごい…。そんな感傷に浸りつつ、これでスコットランド取材が終了。やりきった気持ちと、少し寂しい気持ちが交差しながら見つめた18番グリーンは鉛色の雲から差し込んだ夕日が照らしていました。感動で涙がウルっと…。
こうして長い長い2週間の取材を終え、宿に戻って飲んだバドライトは人生で一番美味しいお酒でした。初めての海外取材は長い旅でしたが、思い返せばあっという間。毎日目にする些細な光景すら新鮮で、何よりスコットランドの空は広すぎました。次なる目標は、ここでプレーを!…ですかね。(新人記者S)
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